メダルゲーム
私はメダルゲームが好き。
でも、毎日やるほどではないんだ。たまに遊びに行くときに、気分転換にやるくらい。
だから、メダルゲームの名人とかじゃない。普通の女子高生だ。
今日は、放課後に友達とゲームセンターに来た。
友達はみんな音ゲーに夢中だけど、私はメダルゲームのコーナーに向かった。
メダルゲームは、音ゲーやプリクラよりも静かで落ち着くから好きだ。音ゲーやプリクラは、音がうるさかったり、人が多かったりして、緊張するから苦手だ。
メダルゲームのコーナーに着くと、私はびっくりした。
なんと、同じクラスの福沢さんがメダルゲームをやっているではないですか。
福沢さんといえば、メダルゲームの名人として有名で、いつもメダルをたくさん持っていて、どのゲームでも上手にできるって聞いたの。そんな福沢さんに、私は憧れを持っていたんだ。
ちょうど、福沢さんの隣の台が空いている。
これは、チャンス。私は、勇気を出して、福沢さんの隣に座った。そして、メダルゲームを始めた。
「あら、こんにちは、夏目さん」
福沢さんはにこにこと笑って、私に話しかけてきた。
「こんにちは、福沢さん」
私は、小さな声で返事をした。
福沢さんは、私の名前を覚えていてくれたんだ。嬉しいけど、恥ずかしい。
「夏目さんはメダルゲーム、やるんですね」
「え、ええ、たまにですけど」
「じゃあ、私がコツを教えてあげますよ」
福沢さんが言った。そして、私の台の画面を指さした。
「このゲームはね、メダルを投入するタイミングが大事なんです。メダルが落ちるときに、あの赤いボタンを押すと、メダルが増えるんですよ」
私は、福沢さんが教えてくれた通りにやってみた。
すると、本当にメダルが増えていった。
「わあ、すごいです、福沢さん」
福沢さんは、機嫌よく答えてくれる。
「いえいえ、そんなことないですよ。私も最初は苦労しましたから」
福沢さんは自分の目の前の画面に視線を戻すと、深くため息をついた。
「どうしたんですか?」
「あ、いえ、このゲームはね、メダルが増えるのはいいんですけど、景品が出るのは難しいんですよ。あの金色のメダルを10枚集めないと、景品が出ないんです」
福沢さんが言った。私は、福沢さんの台の画面を見た。
すると、福沢さんは、金色のメダルを9枚持っているようだった。あと一枚で景品が出るんだ。
私は、福沢さんを応援した。
「がんばってください、福沢さん。きっと、景品が出ますよ」
福沢さんは悟ったような顔をして、首を振った。
「ありがとう、夏目さん。でも、もう時間がないんですよ。このゲームは、時間制限があるんです。あと30秒で終わっちゃうんです」
「じゃあ、私が手伝ってあげますよ。私のメダルを使ってもいいですよ」
私は、自分のメダルを福沢さんの台に投入した。
福沢さんは、驚いて私を見た。
「え、本当にいいんですか?」
私は胸を張って答えた。
「もちろんです。福沢さんのためなら、なんでもしますよ」
私は、本当にそう思った。福沢さんが笑顔になってくれるなら、私はなんでもする。
私は、メダルを次々と投入した。福沢さんも、私と一緒にボタンを押した。
私たちは、息を合わせてメダルゲームを進めていく。
すると、福沢さんの台から、金色のメダルが一枚出てきたのだ。
福沢さんは、金色のメダルを10枚集めた。
メダルゲームの画面は大きな音と光に包まれた。
今まで見たことない量のメダルが、排出口から出てきた。
私たちは、ゴールドラッシュを体験した。
「やったー!」
福沢さんは、私に抱きついてきたので、私は福沢さんに抱き返した。
「おめでとうございます、福沢さん」
「ありがとう、夏目さん。あなたのおかげです」
福沢さんは、私の目を見て、優しく微笑んだ。
私は、福沢さんの笑顔に少しときめいた。
「ゴールドラッシュを体験してるよ、私たち。こういうのが体験できるって、やっぱりメダルゲームって好きだな」
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