新メニュー

 私は、朝から学食の新メニューが気になって仕方がなかった。

 今日から始まるらしいんだけど、何が出るんだろう?

 学食から持ってきたチラシには『秘密の特製カレー』とだけ書いてあったけど、どんなカレーなんだろう?

 辛いのか、甘いのか?

 トッピングは何が乗ってるのか?

 想像するだけで、朝からお腹が空いてきた。


 午前中の授業は、ずーっと新メニューのことを考えていた。

 だから、先生の話は、ほとんど頭に入って来なかった。

 でも、私は真面目な生徒だから、ノートはちゃんと取っていたんだよ。

 そこだけは、偉いと自分でも思うよ。

 私、偉い!


 たまに、隣の席の友達に「どうしたの? 顔がニヤニヤしてるよ?」とからかわれたけど、それでも、新メニューのことを忘れることはできなかった。

 久しぶりの新メニューだよ。

 テンション上がらずにはいられない。


 ◇


 想像だけで、お腹いっぱいになっちゃいそうだった午前中の授業が終わって、やっとお昼休みになった。

 私は、チャイムと同時に教室から飛び出して、学食に向かった。

 早く新メニューを食べたい!


 学食に着くと、既に大勢の人が並んでいた。

 みんな、私と一緒で、新メニューに興味があるのかって思っちゃう。

 私も、急いで列に並んだ。


 私の後ろにも、どんどん人が増えていく。

 ダッシュして良かったー……。



 新メニューは、限定数があるらしいから。

 私は、注文できるかな。不安だな。

 もし、売り切れたらどうしよう?


 お願いします。

 私にも新メニューを食べさせて……。。


 そう思っていると、段々と列が進んでいき、やっと、私の番が来た。

 私は、カウンターのおばさんに、ドキドキしながら聞いた。


「あの、新メニューのカレーは、まだありますか?」


 おばさんは、にっこり笑って答えた。

「あるよ、あるよ。 今日は、たくさん作ったからね。 お皿に盛ってあげるから、少し待っててね」


 その言葉を聞いて、私はホッとした。

 よかった、間に合ったよ。


 おばさんは、私に新メニューのカレーを渡してくれた。

 私は、おばさんに感謝して、お金を払って、席に向かった。



 席について、とりあえず心を落ち着けて、カレーを眺める。

 新メニューのカレーは、とても美味しそうだった。

 ご飯の上に、カレールーがたっぷりかかっている。

 カレールーは、赤い色で、辛そう。

 トッピングは、チーズとコーンとウインナー。



 私は、スプーンでカレーをすくって、口に入れた。


「うわぁ、おいしい!」



 辛いけど、甘い。

 そして、チーズとコーンとウインナーが、カレーとよく合っていた。

 これは、口の中が幸せだよ。


 これが、秘密の特製カレーか。

 すごいです……。


 私は、新メニューのカレーを一口一口、大切に食べた。


 辛い味に対しても、気分が高揚していくのが分かった。


 新メニューって、いいね。

 私、好きだな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る