ジャズ

 今日は友達の沙也加さやかに誘われて、初めてライブハウスに来ているんだ。

 沙也加は、ジャズが大好きで、よくライブに来るらしい。私は、ジャズ自体良く分かってなかったりするんだけれども。

 ジャズアレンジとかCDで聞いたことはあるけど、生で聞いたことはない。

 ジャズって、オシャレな人が聞く音楽って感じがしちゃって、私にはまだ早いーって思っちゃうんだよね。

 私はオシャレじゃないし、音楽にも詳しくないし。

 だから、ちょっと緊張している。



「ここのライブハウス、すごくいいでしょ? それにね、今日は、私のお気に入りのバンドが出るんだ。沙織さおりも、きっと気に入ると思うよ」


 沙也加は、嬉しそうに私に話しかけてくる。

 沙也加って、いつも明るくて元気なんだよね。

 私は、彼女と仲良くなってから、色々なことに挑戦するようになった。今回のライブハウスだって、そう。私ひとりじゃ、ここに来ることなんて無かったよ。

 沙也加は、私にとって、大切な友達だ。


「ありがとう、沙也加。私、ジャズってよくわからないけど、楽しみにしてる。」

「ふふ。じゃあ、早く席に行こう。もうすぐ始まるよ。」


 沙也加は、私の手を引いて、ライブハウスの中に入っていく。

 ライブハウスは、暗くて、人でいっぱいだった。

 私は、周りの人たちを見ると、みんなオシャレに見えるよ……。


 私は、自分の服装が浮いていないかとか心配になっちゃうな……。

 私は、沙也加について、前の方の席に座る。


 ステージの上には、ドラムとベースとピアノとサックスが置いてある。

 ジャズのバンドって雰囲気がすごく伝わってくる。


「すぐ、始まるよ」


 沙也加が私の耳元で囁くと、ステージの上に、4人の男性が現れた。

 彼らは、楽器を手にして、マイクに向かって挨拶する。


「こんばんは、みなさん。私たちは『ジャズ・ファンタジー』と申します。今夜は、皆さんと一緒にジャズの世界を楽しみたいと思います。では、最初の曲は、私たちのオリジナル曲、『ジャズ・ファンタジー』です。どうぞ。」


 男性の一人が、そう言って、サックスを吹き始める。

 サックスの音は、高くて甘くて、私の耳に心地よく響く。

 次に、ピアノが加わり、ドラムとベースも合わせて、音楽が完成する。

 それぞれが、リズミカルで。

 全然違ったリズムに感じるけれども、何故か全部が合っている。

 私は、すぐに音楽に引き込まれた。


 ジャズって、素敵……。



「すごいね、沙也加。ジャズって、こんなに楽しいんだ……」


 私は、沙也加に言う。沙也加は、私に笑顔で返す。


「でしょ。ジャズって、いろんな表情があるんだよ。今の曲は、明るくて楽しい感じだけど、次の曲は、ちょっと切ない感じだよ。聞いてごらん」


 次の曲は、ベースの音から始まった。

 ベースは、リズミカルで楽しげで、私の足に響いてくる。

 次に、ドラムが加わり、ピアノとサックスも合わせて、音楽が完成する。

 この曲も、すごく素敵……。


「沙也加、ジャズって楽しい。私、この音楽好き……」


 私は、沙也加に言う。

 沙也加も、楽しそうにして返事してくる。


「沙織にも聞いて欲しいと思ってさ。気に入ると思ったよ。私も、この音楽が好きなんだ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る