ライバル

 私は、いつも成績で争っている友達がいる。

 名前は、絢香あやか


 同じクラスで、同じ部活にも入っている。テニス部なの。

 私が勝手にライバル認定している子。



 絢香は、勉強も運動も得意で、しかも、ちょっと可愛い。

 だから、みんなから憧れられているんだ。

 私も、彼女に憧れている。

 でも、同時に、彼女に負けたくないという気持ちがすごく湧いてくるんだ。

 そうじゃないと、私は絢香に勝てるところが無いし。


 テストの前は、みんな必死に勉強していた。

 絢香も、同じだと思う。

 テスト前の授業では、必死にテスト範囲の確認をしてたりした。


 なんと言ったって、今度のテストは、特に重要な期末テスト。

 このテストで、私たちの最終的な順位が決まるから。

 絢香は毎回成績が良くて、私は今まで一度も絢香に勝ったことがなかった。


 でも、今回はわからないと思う。

 だって、私は、絢香よりももっと勉強したと思うから。

 でも、絢香も、負けないという目をしている。

 絢香は、私に向かって、にっこり笑って言った。


「今回のテストは、どっちが勝つかな?」

「今度は、負けないから」


 私が闘志剥き出しでも、絢香は笑っていてくれる。

 私たちは、ライバルだけど、友達でもある。

 互いに励ましあったり、勉強を教えあったりもしている。


「公式、ちゃんと覚えてる? ‌これだよ?」

「分かってるよ、大丈夫!」


 私は、絢香に感謝している。

 彼女がいなかったら、私はこんなに頑張れなかったと思う。

 絢香に笑い返して言った。


「ありがとうね」


 絢香は、私の言葉に頷いて言った。


「私もだよ。けど、負けないよ」


 私たちは、お互いにエールを送った。

 先生が教室に入ってきたので、勉強道具をしまった。



 絢香は、私の一番のライバル。

 でも、私の一番の味方でもある。

 絢香は、私にとって、かけがえのない存在だ。


 絢香の方を見ると、あちらとこっちを見ていた。

 二人でうんと頷いて、答案用紙が回ってくるのを待った。




 答案用紙が回ると、テストが始まった。

 私は、問題を見て、自信を持って答えていった。

 勉強していたもん。全部わかったと思う。


 絢香も同じだと思う。

 鉛筆がサラサラと動いていた。




 テストが終わり、答案用紙が回収された。

 ちゃんと全部出し切れた。


 絢香の方を見ると、手応えありという感じの顔をしていた。

 私は、絢香に言った。


「絢香はいつも通り、出来てそうだね」


 絢香は、うんと頷き答える。


「私もだけど、美穂みほもできてそうな顔してるよ。どっちもいい点数だといいね」

「そうだね。でも、どっちが勝つかな?」


「それは、発表されるまでわからないよ。今回は私が負けたかもだよ」


 絢香は、いつになく弱気な発言だった。

 私は、励ましの意味も込めて、絢香に言う。


「どっちにしろ、お疲れ様だね」

「ありがとう。美穂もだよ」


 私たちは、お互いに頷いた。


 なんだかんだ、いつも一緒に勉強していたライバルだもんね。

 絢香がいたから、私は頑張れたと思うよ。

 私は、絢香に言った。


「ライバルってさ、中々倒せない強敵だけれども、いてくれると頼もしいね」


 絢香は答えてくれる。


「私にとっても、美穂がライバルだからね。美穂のおかげで、今の私がいるんだから」


 そう言ってくれる絢香は、とても優しいよ。

 やっぱり、一番の友達だ。


 ライバルっていいね。

 私は、そういう存在が好きだな。

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