Wikipedia

「ねぇ、パパ。小正月ってなぁに?」


 私の質問に、パパは困った顔をした。

 首を捻ったり、「うーん」って唸ったり。

 テレビでそんな言葉が出てきたらか聞いてみたけれども、困らせちゃったみたいだなぁ。


 分からないことは、すぐに分からないって言ったらいいと思うんだけども。

 もうちょっと、様子を見てみようかな。


「うーん、小正月かー。一月にある行事だよなー。母さん分かるかー?」


 やっぱりお父さんは分からなかったみたい。

 お母さんに助けを求めていた。


 お父さんの声を聞いて、台所からお母さんがやってきたけど、お母さんも険しい顔をしていた。


「私、そういうの全然分からないよぉ……。ごめんなさい……」

「そうかー……。うーん、ごめんよ、桃香ももか、分からなかった」


 お母さんもダメか。

 物知りだと思ってたんだけれども、行事系はあまり得意じゃないみたいだね。


「謝らないでいいよ。そういうこともあるよね」


 私がそう言うと、二人とも、ほっとして家事の続きをし始めた。

 分からないことは、分からないもんね。

 そういう時は、私も潔よく認めようっと。


 けど、小正月って気にならなっちゃうなぁ。

 小さい正月なのかな。


 明日、先生にでも聞いてみようかなー。



 ◇


 学校で朝の会が終わると、すぐに先生の所へと行った。


「先生、私分からないことがあるんです。小正月っていうのが分からなくて、教えて欲しいです」


 先生は、一瞬驚いた顔をして、そのあとはお父さんと同じように、「うーん」って悩み出した。

 みんな分からないのかー……。

 小正月ってなんだろう……。


「先生は、分からないな……」


 先生でも分からないのか……。

 うーん、じゃあどうすればいいんだろう……。


「先生も分からないけどな、そういう時は辞書を使うんだ」

「辞書? ‌国語辞書なら知ってるよ!」


 先生は、うんうんと笑って答えてくれた。


「そうそう、それも辞書だな。それで調べるのが一番だぞ」

「私、持ち歩いてないよ……。重いもん……」


 先生は、また困った顔をしてしまった。

 都合よく辞書なんて無いよ。


 悩んだ先生は、自分の携帯電話を取りだした。


「じゃあ、そんな時は手軽にこれを使おう。Wikipediaっていうんだ」

「何それ?」


「Web上にある百科事典だな。これで調べることができるんだ。辞書が手元に無い時は、こういうのも使うと調べることが出来るんだ」


 へぇ。そんな小さな携帯電話が辞書代わりに使えるんだね。すごいや。


「せっかくだから、調べてみるぞ。小正月は、一月の最初の満月の日らしい。昔は、この日までを正月としていたらしいぞ。お正月はこの日までっていう日だな」


 なるほど、そういう日だったのか。

 一つ知れて私も賢くなれたね。

 ふふ。


 あと、もう一つ凄いものを教えてくれた。

 Wikipediaって、お父さんや先生が知らないことも知ってるって凄い。

 私も今度使ってみようかな。

 こんなに便利だと、なんだか、好きになっちゃいそうだね。

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