褒め言葉カード

 私は、友達の奈緒なおから手渡されたカードを手にして、目を輝かせた。

 カードには、色々な褒め言葉が書いてあった。


 例えば、「明るくて元気」「優しくて思いやりがある」「頭が良くて勉強ができる」などなど。

 奈緒は、このカードを使って、友達同士で褒め合うゲームをしようと言ってきた。


「これって、なあに? ‌どうやって遊ぶの?」


 私は、奈緒に聞いた。

 奈緒は、ニコニコしながら説明した。


「これはね、『褒め言葉カード』っていうんだよ。遊び方は簡単なの。まず、カードをシャッフルして、一枚ずつ配って。それから、自分のカードに書いてある褒め言葉を元にして、隣の人を褒めるの。例えば、私が『明るくて元気』ってカードを引いたら、隣の人に『あなたはいつも明るくて元気で、周りを元気にしてくれるね』って言うの。そうすると、隣の人は嬉しくなって、笑顔になるの。それを順番に繰り返していくの。最後に、一番笑顔になった人が勝ちなんだよ」


「へえ、面白そうだね。でも、褒めるのって難しくない?」


 私は、少し不安になった。

 人を褒めるっていうのがとっても苦手だ。

 自分の気持ちを言葉にするのが下手だし、相手に気を使ってしまうから。

 だから、いつも褒められると、照れくさくて、どう返事をすればいいかわからない。

 逆に、褒めるときも、相手に失礼にならないか、嘘っぽくならないか、気になってしまう。


「大丈夫だよ。褒め言葉カードは、誰でも言えるように作られてるから。カードに書いてあることをそのまま言えばいいんだよ。それに、褒めるのは難しくないよ。褒めるっていうのは、相手の良いところを見つけて、伝えることだよ。相手の良いところを見つけるのは、簡単だよ。だって、みんなには、たくさんの良いところがあるんだからね!」


「そうかな……」


 私は、まだ半信半疑だった。

 でも、奈緒の言葉には、確かな自信が感じられた。

 奈緒は、クラスのムードメーカーで、いつも笑顔でみんなを楽しませてくれる子だ。

 彼女は、人を褒めるのが上手なんだよね。

 私は、彼女の話を聞いて、いつも笑っていた。

 彼女は、私のこともよく褒めてくれた。


「じゃあ、やってみようか」


 私は、奈緒に笑顔で答えた。

 奈緒は、嬉しそうにカードをシャッフルして、私に一枚渡した。

 私は、カードを見て、びっくりした。

 カードには、こんなことが書いてあった。


「笑顔が素敵」


 私は、思わず奈緒を見た。

 奈緒は、笑顔で見返してきた。


 これ、奈緒に言うの?

 ちょっと恥ずかしいな……。

 でも、本当にそう思うよ。

 奈緒の笑顔は、本当に素敵だもん。

 その笑顔で見られると、私も笑顔になれるんだよね。


 私は、勇気を出して、奈緒に言った。


「奈緒の笑顔は、素敵だよ。いつも、私を笑わせてくれて、ありがとう」


 奈緒は、驚いたように目を見開いた。

 それから、顔を赤くして、にっこりと笑った。


「ありがとう。私も、由紀子ゆきこの笑顔が好きだよ。いつも優しくて、思いやりがあるよね」


 私は、奈緒の言葉に、嬉しくなった。

 私たちは、目を合わせて、笑った。


 奈緒は、嬉しそうに言った。


「これは、二人とも勝ちかな。楽しいね!」


 奈緒の教えてくれた、褒め言葉カードって楽しい。

 私、このゲーム好き。

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