スキー

 私は初めてスキーをしに来た。

 友達の沙耶香さやか絢香あやかが誘ってくれたんだけど、正直、全然やる気が出なかった。

 スキー場って、寒いし、怖いし、滑れる自信もないし。私運動音痴だし……。


 でも、断るのも悪いし、せっかくの冬休みだし、何か新しいことに挑戦してみるのもいいかなと思って、渋々承諾した。


 スキー場に着いて、レンタルのスキー板とブーツを借りた。

 ブーツは重くて窮屈で、歩くのも大変だった。

 スキー板は長くて邪魔で、持ち運ぶのも一苦労だった。

 寒い以外にも、こんなに苦労があるなんて……。

 全然動ける気しないし、こんなので本当に滑れるのかな……。


 そんな私を見て、沙耶香が優しく言ってくれた。


「大丈夫だよ、私たちが教えてあげるから」


 沙耶香はスキーが得意で、毎年家族と一緒に行っているらしい。

 絢香もスキー経験があって、それなりに上手だった。

 私は二人に着いていって、初心者用のゲレンデに向かった。




「まずは、スキー板を履いてみようか」


 言われた通り、スキー板の先端にブーツを合わせて、カチッと音がするまで押し込んだ。

 すると、スキー板がブーツに固定された。

 足元が不安定になって、バランスを取るのが難しかった。



「次は、ストックを持ってみようか」


 ストックはスキー板を操作したり、歩いたりするときに使う棒のことだった。

 ストックの先端には円盤状のものがついていて、雪に突き刺すときに役立つらしい。

 ストックの持ち方や長さについて、二人が丁寧に教えてくれた。



「それじゃあ、歩いてみようか」


 もう、手取り足取り。

 私はロボットみたいに、言われるままやっていく。

 スキー板を履いたまま、雪の上を歩くのはとても難しかった。

 足が開いたり閉じたりして、思うように進まなかった。

 ストックを使っても、なかなかうまくいかなかった。

 何度も転んで、雪だらけになった。

 こんなので、本当に滑れるようになるのかな……。



「よし、ここで滑ってみようか」


 ゲレンデの上の方に来て、スキー板を斜めに向けて止めた。

 私は二人の後ろについて、同じようにした。

 下には、白くて広い雪原が広がっていた。

 みんな楽しそうに滑っていたけど、私は怖くて、息が詰まりそうだった。

 二人とも、スパルタ過ぎるでしょ……。

 高いし、怖い。


 滑り出す二人について行こうと、私も一歩前へ出ると、スキー板が動き出した。

 私は怖くて、目を閉じてしまった。



「目を開けて、前を見て!」


 沙耶香が叫んだ。


 言われるまま、すぐに目を開けた。

 目の前には、青い空と白い雪があった。

 気持ちの良い風が頬を撫でていく。

 いつもは寒がるけれども、今は少し気持ちが良かった。



 二人についていき、なんとか下まで滑ることが出来た。


「楽しいかった?」

「うん」


 私は答えた。


「慣れると、もっと楽しいんだよ。雪の中を吹き抜ける風になったみたいな気分になれるよ」


 スキー初体験で、色々苦労したけど。

 滑るのは、とても楽しかった。


 二人を信じてやってみて良かったな。

 私も、スキー好きになったよ。

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