UNO

 私たちの学校では、カードゲームは禁止されていない。

 高価なトレーディングカードはダメだけれども、トランプとかそういうものは、大丈夫なんだ。


 昼休みは、UNOをやるのが最近の流行り。

 UNOって、大人数でもできるし、その日の気分でメンバーが違ったりするんだ。


 今日は、女友達4人でUNOをしている。


「ドローツー!」

「えーー。ずるいよー!」


「ちなみに、UNOだよ」


 私と、園子そのこの一騎打ち。

 私は、普通の数字のカードしかないし。

 とりあえず、何か出すしかないか。


 赤の七を出すと、園子は黄色の七を出してきた。


「あがりー! ‌美波みなみがビリだね」

「あぁ、やってしまったかー」



 私は、どうもカードゲームが弱いらしい。

 手札が悪いのか、引きが悪いのか。

 どうやっても勝てないんだよなー。


「じゃあ、もう一回やろう! ‌負けた美波がカード切って配ってください」

「はいはい」


 負けちゃったとしても、楽しいは、楽しいんだよ。

 みんなとワイワイ話しながらできるし。

 カードゲームに集中している時って、くだらない話も出来ちゃうんだよね。


 カードを切り終わって、配り始めようとすると、新たなメンバーが入ろうとしてきた。

 園子の彼氏と、その友達のさとし君。


「俺たちも入れてよ!」

「いいよいいよ、入って入って!」


 園子が断りもなくメンバー追加をする。

 断る理由は無いんだけれども。

 人数が多くなれば、私が負ける確率は下がるはずだし。

 今度は勝てるかなー?



 ◇



 そう思っていた時が、私にもありました。

 私は、最後の二人に残ってしまっていた。


「美波って、劇的に弱いよね」

「確かにな。聡と同じレベルで弱いな」


 園子と彼氏が笑いあっている。

 なんで、私は弱いんろうな。

 うう……。


 聡君も弱いのか。

 弱さの頂上決戦だなあ。



 私と聡君のカードは、あと二枚づつ。

 聡君は真剣な表情をして、私の番を待っている。

 どうにかして勝ちたいな。


 聡君が何を持っているか教えてくれたら、勝てるんだけどな。

 教えてくれないと思うけど、一か八か聞いてみよう。


「聡君ってさ、何のカード持ってるの?」


 私が問いかけると、聡君は律儀に答えてくれた。


「俺は、三と五のカードを持っているよ」

「え、本当? ‌それならそれ以外を出せば、いいじゃん」


 私は赤の八を出した。


「なんで正直に言っちゃってるんだよ」

「聡君、それじゃあ勝てないよー」


 園子と彼氏が、笑って指摘をしていた。

 これは、私の作戦勝ちだね。

 次のターン私が出したら、勝ち。


「あぁ、俺出せないや。一枚引くね」


 そうして、聡君は一枚カードを引くと、驚いた顔をしながら、そのカードを出した。


「引いたカードが、ワイルドフオーだったよ。黄色でお願いします」

「えーー。ずるいよ-!」


 私は、四枚カードを引いた。

 私のカードは全部、緑色の数字になった。

 私は出せるカードがないので、聡君の番。


 その後、スイスイと聡君はカードを出して、上がってしまった。


「うう。なんで私は勝てないの」


 私の嘆きに、聡君は笑って答えてくれる。


「大丈夫、もう1回やろう!」

「今度は絶対に勝つよ」


 負けても、続けちゃうんだよね。

 やっぱりみんなでワイワイするのが、面白いって思っちゃうから。


 私、UNOって好き。

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