インテリア

 大きな西洋家具屋さん。

 ここは、すごく広くて、全部を見回っていたら、足もクタクタになっちゃうくらい。

 私、このお店好きなんだよね。


 姉に連れられて、二人でお買い物。

 姉は最近免許を取ったばかり。

 取り立ての免許だから、私は生きた心地がしなかった。


 お姉ちゃんったら、「大丈夫、大丈夫」って、運転中に横を向いて言ってくるんだよ。

 私は、「ちゃんと前を向いてよ! ‌危ないよ!」って言って、注意してた。

 お店に着く前に、ドキドキして疲れちゃったよ。


 エスカレーターを降りて、お店の入口から入っていく。

 このお店って、実際の部屋を想定した間取りが作られていて、その中に売り物の家具を並べているんだ。

 6畳の部屋だと、こんなインテリアを並べられますよーっていう。


 壁に付けるタイルがオシャレだったり、勉強机も売り物だったりするの。

 机の上にあるブックスタンドやら、ライトやら、全てが売り物で、それぞれ値札が付いているんだ。

 それを眺めているだけで楽しく感じちゃう。


 お姉ちゃんは、今年の春には家を出て一人暮らしをするんだ。

 就職を機会にして、自立するんだって。

 カッコいいなーって思う。


 新しい生活なんだね。

 羨ましいなー。



 お姉ちゃんは、楽しそうに家具を眺めていた。


加奈かな、お姉ちゃんがいなくなったら一人部屋だね。好きに使っていいからね」


 そうか、お姉ちゃんが出ていくっていう事は、私だけの一人部屋になるのか。

 寂しい気もするけど、それはそれで楽しみかもしれない。

 自由に過ごせる。


 お姉ちゃんの置いてくもので、色々と配置変えたりして。

 私も、自分の部屋をコーディネートしたくなってきたな。


「こんな感じの吊り下げ電気ってどうかな? ‌オシャレじゃない?」


 姉が、丸くて大きい電気を指さして聞いてきた。


「可愛いけど、大きすぎない?」

「それが良いところじゃん。殺風景な部屋には、良いと思わない?」


 姉は、笑って色々な家具を見ていた。

 途中で見えた家具で、私も良さそうなものを言っていく。


「こういう方がいいんじゃないかな? ‌アンティーク感があって良いと思うよ」

「加奈、そういうの好きだよね。相変わらず、私より大人だな一」


 姉は、私が良いといった電気を眺めて、値札を見ていた。


「これ、加奈が欲しかったら買ってあげるよ。私がいなくなる部屋、加奈好みに飾り付けちゃってよ」

「え、良いの? ‌そんなに改造する気は無かったんだけれども」


「今まで、部屋の装飾は、全部私に合わせてくれてたからさ。我慢せずに加奈の部屋を楽しんじゃって。今までの償いと、お礼を込めて、いっぱい買っちゃお!」


 お姉ちゃんってば、後先考えないでお金使っちゃうんだから。

 けど、その気持ちがすごく嬉しかった。


 今日だけは、お姉ちゃんの優しさに甘えちゃおうかな。


「私ね、おしゃれなラグとか、可愛いクッションとかも欲しいな」

「はいよっ! ‌なんでも買って大丈夫だよ!」


 お姉ちゃんが出ていくのは寂しいけれど。

 お姉ちゃんが買ってくれたものを、お姉ちゃん代わりにしよう。


 新しい生活に向けて、気持ち切り替えていこう。

 インテリアって、見ているだけで新しい生活を想像できて。


 わくわくしてくるから、好きだなぁ。

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