仕事初め
今日もお父さんは、家でゴロゴロ。
「ねえねえお父さん、遊ぼうよ一」
「いやー、お父さんは休みだからさー」
……うーん。
最近のお父さんはいつもこれ。
こんなこと言われても、よくわかんない。
お父さんが家にいる時に休みだとしたら、私がお父さんと遊べるのはいつなんだ?
仕事中は遊べないわけだし。
私は一生お父さんと遊べないってことにならない?
自ら休みっていうお父さんは、ゴロゴロと寝てるだけ。
まったく動いてくれないんだ。
困った時は、お母さんに訴えると動いてくれる。
「お母さん、お父さんが遊んでくれないよ」
「あらあら、そうなの? お父さん、
「え一……。年末年始の休みくらいしかゆっくりできないじゃん。千代は一人で遊んでくれよ」
お父さんのダラダラした態度に、お母さんの怒りは爆発した。
「お父さん! 明日から仕事でしょ! 今から動け! 今日から仕事初め!」
「……はい」
やっとのことで、お父さんは動き出した。
お正月、お父さんはずっと家でのんびりしていたんだよ。
お父さんはお酒を飲んで、楽しそうにしているけれども、私は全然楽しくなかった。
早くお母さんに、頼めば良かったんだね。
なんだかやる気になったお父さんは、私に言ってきた。
「じゃあ、千代。今日で休み最後だから、思いっきり遊ぶか」
「うん」
お父さんの目がいつものような、明るい感じに戻った。
今まで、休みモードだったんだ。
私、仕事モードのお父さんの方が好きだな。
「じゃあ、何して遊ぼうか?」
「私ね、自転車練習がしたいの!」
「な、なるほど、いきなりそれはハードな遊びだな」
私のお願いに、お父さんは若干困ってしまった気がする。
けど、ずっとやりたかったんだもん。
「私、ずっとやりたかったのに。お父さん寝てばかりだったからできなくて……」
私の言いたいことを、お母さんは汲み取ってくれた。
「お父さん、いままで休んでたぶん、しっかり遊んであげて!」
「……わかった。千代、ごめんな。お父さん昨日まで休みだったから。今日からお父さんの仕事初めだ!」
お父さんは、急に元気になった。
さっきまでと、全然顔つきが違う。
「じゃあさ、私サイクリングロードを通って、海まで行きたい」
川沿いにあるサイクリングロードをずっと進めば、海に出るんだ。
冬の海っていうのに、私は行ってみたかった。
「それは、流石にお父さんが走っていくには遠いな……。どうしても行きたいというなら、お父さんも自転車に乗っていいなら、ついて行くぞ」
お父さんは、やる気に満ちた顔をしていた。
「やるなら、思いっきり遊ぼう!」
なんだか、いつも以上に元気なお父さん。
お正月休みで元気が貯まったんだね。
休みって言うのも、必要だったのかも知れない。
休みで英気を養ったお父さんは、とっても絶好調。
私のお願いをなんでも聞いてくれる。
「ありがとう、お父さん。大好き!」
お父さんが元気になるから、仕事初めって好き。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます