仕事納め
「あー、やっと今年も部活終わりだね!」
私は教室の窓から外を見ながら、隣の席の友達のすみれに話しかけた。
年の瀬の寒さが、窓から伝わってくる。
「うん、本当に。勉強も部活も大変だったもんね」
すみれは私と同じく、吹奏楽部に所属している。私たちはいつも一緒に学校に行き帰り、勉強も部活も頑張ってきた。
「でも、好きだから、やめられないんだよね」
私はそう言って笑った。
吹奏楽部ではフルートを吹いている。
吹くのは、とっても好き。
だけど難しいんだよね。
毎日練習しないと、周りに置いてかれちゃうんだ。
その上、私の部活では、赤点を取ると部活禁止されちゃうんだよね。
だから、部活練習を頑張ったあと、そのまま、すみれと一緒に勉強してるんだ。
どちらも、難しいけれども、すみれといると楽しかった。
「そうだね。私もそうだよ」
すみれは吹奏楽部では、クラリネットを吹いている。
とても明るくて元気で、クラスの中でも、部活でも人気者だった。
そして、私と同じく勉強ができない。
「でも、少し休みたいよね。年末年始はゆっくりしたいよね」
私はそう言ってため息をついた。
私たちは今日、学校の最後の日に、吹奏楽部の仕事納めをすることになっていた。
吹奏楽部が休みになると、一緒に勉強している時間も自然と無くなるのだ。
勉強も、一緒に仕事納め。
「そうだね。せっかくだから仕事納めとして、楽しくやろうよ。一緒に頑張ろうね」
すみれは、そう言って私に笑顔でエールを送った。すみれはいつも私を励ましてくれる。
こういう所が人気者になる理由なんだよなね。
「うん、ありがとう。すみれはいつも私の心の支えだよ。助かってる」
私はそう言ってすみれに笑顔で返した。
すみれは私の大切な友達だった。
吹奏楽部で、年納めの挨拶があった。
学校での練習が無くなるから、代わりに家で練習しておくようにって顧問の先生が言っていた。
分かってるけれども、休みなんてないんだよね。
吹奏楽部が終わると、すみれと勉強をする。
「はぁ……。こっちも、勉強納めにはならないんだよね」
「勉強って、大事だからね」
すみれは、少し考えてから、笑って話を続けた。
「学校での勉強はこれでお終いにして、明日から私の家で勉強しない? 真面目に勉強するのは、今日で終わりで、楽しみながら一緒に勉強しよ!」
「……それって、いいね!」
私とすみれは、二人で笑いあった。
今日の勉強も、決めた時間で終わらせた。
私たちは、学校での勉強に仕事納めをして、学校を出た。
私とすみれは、二人で暗くなった帰り道を歩いた。
「すみれ、今年は本当にありがとう。私はすみれと一緒にいられて、幸せだったよ」
「なに、あらたまっちゃってるのー? 明日からも会うでしょ?」
「そうだね。ふふっ……」
明日からは、楽しみな冬休みだからね。
明日からは遊びとして、勉強しようっと。
仕事納めとして、区切りをつけるっていいね。
私、好きだな。
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