ボクシング・デー

 昨日は、クリスマスだった。

 お母さんから、クリスマスプレゼントをもらえたんだ。

 こんなに可愛いポーチをもらったんだよ。


 パステルピンク色がベースになってて、閉じる部分は白色。

 これが、とても可愛いの。

 すぐに私のお気に入りになったんだ。


 それで、早速中学校にも持ってきたの。

 嬉しかったから、友達にも見せたくなっちゃってね。


「見てみてー! これクリスマスプレゼントでもらったんだ」

「おぉー! ‌可愛いね、それ。良いプレゼントもらえたね!」


 ふふふ。良い反応もらえて良かった。

 やっぱり可愛いよね。


「うん、良かったよ、これ嬉しくてさー。あとかと、これなんだけど、お母さんがネットショップで注文していたらしいんだけれどもね。昨日配達しに来てくれた人から、こんなものがもらえたんだ」


 私は、ポーチと一緒にもらった、クリスマスカードを見せた。

 真ん中に、可愛い猫さんが描かれていて「ハッピークリスマス」って書いてあるカード。



「それもすごく可愛い! ‌そういうのもらえて、いいなー。最高じゃん!」


 そんな話をしていたら、先生が私達の所にやってきた。

 先生は、私のポーチをすごく見てくる。

 ……ヤバいな。見つかっちゃった。


深尾ふかお、学校に関係ないものは持ってきちゃダメだろ?」

「……はい、ごめんなさい」


 そうだよね。

 怒られるのは承知だったけれども、どうしても見せたかったんだもん……。



「あと、クリスマスカードをくれた人には、今日お返しするんだぞ?」

「……お返し?」


 先生は怒っている顔から、少し優しい顔になって答えてくれた。


「そうそう、お返しをするんだぞ。海外だとそういう文化があってな。クリスマスにも働いていたような人に、お疲れ様ってプレゼントを贈る日なんだ」

「へぇー。それ、初めて聞きました」


「じゃあ、覚えておくように。みんなが休んでる時とか、楽しんでる時にも、頑張って働いている人がいるからな」


 確かにそうだ。

 私がクリスマスケーキ食べてる時に来た配達の人。

 嫌そうな顔せずに、ニコニコしながらプレゼント届けてくれて。

 それで、クリスマスカードまでくれて。


 そういう人がいるから、私は最高のクリスマスをおくれたんだ。


「先生、‌ありがとうございます! ‌どうにかお返し考えて渡したいと思います」


 先生は、うんうんと満足そうに頷いた。


「自分が出来る範囲で、感謝を伝えるのがいいぞ。メッセージカードで返すっていうのもありかも知れないな」

「なるほどです」


 昨日配達してくれた人は、前にも何回か配達してたから、次に来たら渡せそう。

 それまでに、感謝の気持ちを込めたメッセージカードを作ろう。


「そうだそうだ、呼び方を言ってなかったな。海外では、そういうお返しをする日を、ボクシング・デーって言うんだ」

「そうなんですね! ‌初めて知りましたけれども、そういう日を作ってくれたことに感謝です。私、そういうの、とっても好きです」

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