サンタクロース

 クリスマス。

 枕元に靴下を置くって言うのは、どこの文化なのでしょうか。

 私には、理解が出来なかったのですけれども。

 絶対にプレゼントは、欲しいと思ったのです。


 背に腹は代えられない。

 いや、郷に入れば郷に従え。

 プレゼントをもらうためにしょうがないと思って、なけなしのお小遣いをはたいて、新品の大きな靴下を買って来たのです。


 どちらにしても、私の靴下だったら全然プレゼント入らないですし。

 大きな靴下を用意する必要があったので、買いました。


 図々しいですけれども、経費として請求したら返してくれないかな。

 お父さんがよく言ってる、年末調整的な。

 ダメか……。



 なんてことを考えてたら、昨日は寝ちゃってたらしいんです。

 それで、朝起きたら、きちんと入っていたのです。

 靴下の中にプレゼントが。


「うわあぁぁぁ!! ‌プレゼントだあぁぁ!!」


 私の声がリビングまで聞こえたのか、お父さんとお母さんが飛んできた。


「どうしたの鈴子!」

「大丈夫か鈴子!」


 驚くお父さんとお母さんの顔。

 けど、それよりも私の顔の方が絶対に驚いてる自信がある。


「見てみて、見てみて! ‌プレゼントだよ! ‌靴下買った甲斐があったよ! ‌やったあぁぁ!」


 買ったばかりの靴下は、すごーく伸びてたけれども。

 私は、プレゼントを抱いて、プレゼントを頬ですりすりして、幸せを堪能する。

 良かったぁ。プレゼントさん。



 そんな私を見て、お父さんとお母さんは、安心していたようだった。


「何事も無くて良かったよ。プレゼント良かったな。鈴子は、今年一年間良い子にしてたからな」

「何が入ってたのかな? ‌欲しい物だったのかしら?」


 そうか? ‌お父さんもお母さんも、サンタさんは見ていないのかな?

 何が入ってるか分からないんだね?


 サンタさんって、超高速移動おじさんだよね。

 いや、そんな言葉じゃ片付けられないな。

 瞬間移動おじさんなのかも知れない。


 それに、このプレゼント。

 私がずっと欲しいって思っていた、スマートウォッチなの。

 私の大好きな、可愛いキャラクターのやつ。


 恥ずかしがり屋で、部屋の端っこに集まっちゃうようなキャラクター。

 サンタさんは、よく私の考えることを察知してくれたなー。

 すごいよ、サンタさん。



「あー! ‌そうか、私わかったよ! ‌サンタさんってエスパーなんだよ! ‌人の考えを読み取って、瞬間移動して。ソリで空を飛ぶっていうのも、あれはサンタさんの能力だ!」


 お父さんと、お母さんは顔を見合わせて、笑っていた。

 いやいや、私の推測は恐らく正しいのです。

 残念ながら、大人には思いつかない発想ですね。


 お父さんが笑いながら、私の方に言ってきた。


「じゃあ、ご飯食べたら、それを付けてお出かけでもしようか」

「うん! ‌今日はこれを付けていっぱい歩く! ‌これって、歩いた分だけ、キャラクターが成長するんだよ!」



 ふふふ。

 私の欲しかったプレゼントがもらえた日。

 そして、サンタさんがエスパーだって言うのも解明できた記念日だね。


 エスパーって分かれば、することは一つ。

 私の思っていることは多分、サンタさんにも伝わるはずだからね。


 サンタさんありがとうございました!

 とっても、大好きです!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る