東京タワー
私は東京タワーが好きなんだ。
毎日、学校から帰る途中に、その赤と白の姿を見上げるのが日課になっている。
東京タワーは私にとって、夢や希望、自由や冒険の象徴なのだ。
私はいつか、東京タワーのてっぺんに登って、街の景色を一望したいと思っている。
今日も、いつものように、東京タワーを見ながら歩いていた。
すると、ふと、隣に歩いている男の子に気づいた。
彼も東京タワーを見ているようだった。
彼は私と同じ制服を着ていたから、同じ学校の生徒だとわかった。
でも、顔は見たことがなかった。
私は彼に話しかけてみた。
「あの……。あなたも東京タワー、好きなの?」
彼は私の声に驚いて、こちらを向いた。
彼は黒髪に茶色の目をした、普通の男の子だった。
でも、なんだか優しそうな雰囲気があった。
「え? あ、うん。好きだよ。なんでそんなこと聞くの?」
「私も好きなんだ。毎日見てるんだよね。東京タワー」
「そうなんだ。じゃあ、同じだね」
彼は笑って言った。
私も笑った。
なんだか、彼とはすぐに仲良くなれそうな気がした。
「あ、そうだ。名前を聞いてなかった。私、
「俺は
「よろしく」
学年が違っていたから、知らない訳だ。
私たちは、よろしくというように、握手を交わした。
彼の手は温かくて、力強かった。
「ねえ、太郎くん。東京タワーのてっぺんに行ったことある?」
「ないよ。でも、行ってみたいな」
「私もだよ。太郎君、せっかくならさ、一緒に行かない?」
「え? 本当に?」
「うん、本当に。今日は土曜日だし、時間もあるし、行こうよ」
「でも、お金とか、親とか、大丈夫なの?」
「大丈夫だよ。そんな大した金額じゃないし。親は仕事でいないし、携帯で連絡すればいいし」
「そうなのか。じゃあ、行こうか」
「やった! 行こう、行こう!」
私は太郎くんの手を引いて、東京タワーの方へ走り出した。
太郎くんも私についてきた。私たちは楽しそうに笑いながら、東京タワーに向かった。
東京タワーに着くと、私たちはチケットを買って、エレベーターに乗った。
エレベーターはすごく速くて、私は太郎くんの腕にしがみついた。
太郎くんは私を優しく抱きしめた。私はドキドキした。
エレベーターがてっぺんに着くと、扉が開いた。
私たちは外に出た。そこには、東京の街が広がっていた。私は感動して、目を見張った。
「わぁ、すごい! こんなにきれいな景色、初めて見たよ」
「ほんとだね。すごいね。東京タワー」
私たちは窓に近づいて、街を眺めた。太陽が沈みかけていて、空はオレンジ色に染まっていた。
ビルや車や人が小さく見えた。風が吹いて、髪がなびいた。
「ねえ、太郎くん。私たち、どこにいるかわかる?」
「うん、わかるよ。あそこが俺たちの学校だよ」
「そうだね。あそこが私の家だよ」
「へえ、そうなんだ。じゃあ、あそこが俺の家だよ」
「ほんとだ。近いね」
「うん、近いね」
私たちはお互いの家を指さして、笑った。
私は太郎くんの顔を見た。
彼は私の顔を見た。私たちは目が合った。
私は赤くなった。彼も赤くなった。
夕焼け空に照らされて。
東京タワーっていいね。
私と太郎くんが出会うきっかけになった。
やっぱり好きだよ。東京タワー。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます