物産展

 デパートの最上階で催される物産展。

 私はそれが好きだ。


 普段は見れない遠くの地方の物を見れるっていうだけでも楽しくて。

 それを実際に食べるっていうこともできるのだ。

 それが、何店も何店もある。

 物産展の魅力。


 そして、期間限定っていうところも、とても魅力的。

 今だけ限定で、私の街のデパートでも食べることができるんだよ。


 これを逃すわけにはいかないって思うよね。

 普通は。


 デザートみたいなものから、ご飯に合うおかずもあったりする。

 ラーメンとか、肉まん的な主食となるようなものだってある。

 もはや、ここで暮らせちゃうっていうくらい。


 私は、ここの民になろうかなって思っちゃうよ。


 私は、今日から北海道民。

 札幌ラーメンを食べて、牛乳を飲んで。

 チーズを食べたり。

 濃厚なアイスクリームだってある。


 全部を食べれなくても、見ているだけで幸せ。

 これぞ、物産展。


「ですよね!」


 和也かずやの方を振り向いて、問いかける。

 和也は、いつも通り、乗り気じゃない顔してるなぁ……。。


「いや、物産展なんて、何回もやってるでしょ。特に北海道物産展の割合が多いんだよ。年に何回やってるんだよ。春も夏も秋も冬も」


 和也は、まだ分かっていないな。

 北海道物産展の魅力っていうものを。


「和也? いつもそんな風に最もらしい雑学を披露してくるけれども、今回は私に分があるよ。北海道物産展が開催された『回数』だけに注目しちゃってるんですよね? 中身をちゃんとわかってるのかな?」


 私がそういうと、和也は急に黙ってしまった。

 ふふふ。いつも論破されちゃうけれども、今回は私が優勢のようね。

 和也は、ちょっと考えて、言い返してくる。


「……わ、わかるよ。初出店する店もあったりするもんな」

「ふふ。その答えは、30点くらい。落第です。和也は考えが甘いよ? 同じ店が出典してたってラインナップが違うんだよ。例えば、お菓子で有名なROYCEチョコレート。これの季節ごとのラインナップをお分かり?」


 和也は、はっとした顔をした。


「秋には秋の味覚。かぼちゃ味のチョコがあったり。夏にはアイスクリームだってあるんだよ? ちょうど今の時期にあるのはなんだと思う?」

「……クリスマスシーズンか」


「御明答!」


 私は和也の手を引いて、物産展の会場へと入る。


「知ってると思うけれども、私はチョコレートがとっても好きなんだよ。クリスマスもとても好きなの。そんなヒントがいっぱいあって、和也は私へのクリスマスプレゼントは何をくれるのかな?」


 和也は、眉間に皺を寄せて、下唇を出して。

 なんだか悔しそう。

 今回の雑学勝負は、私の勝ちだね。


「お前へのプレゼントは、もう用意してるけどな。お揃いの指輪とか……」


 物産展は人が多くて、ガヤガヤとうるさかった。


「……ん? ‌和也、何か言った?」

「いや、何でもない。、お前の勝ちって事でいいよ。クリスマスは、俺が勝つけど」

「何それ? ‌次も私が勝つよ! ‌よわよわ和也!」


 今日も、和也とのデートは楽しいな。

 物産展って、私大好きなの。

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