観光バス

 この週末に、私と友達のあやは、観光バスでプチ旅行に行ってみることにしたんだ。


 こんなことになった経緯を話しましょう。

 何を隠そう、私と彩は、卒業旅行の計画を立てる係なのです。


 流行病もおさまってきて、旅行に行けるムード満々になったので、二年生時に予定されていた修学旅行にも行けず、我慢ばっかりだった学生に『卒業旅行』という形で用意されたのです。


 私と彩は、ウキウキでどんな旅行が良いかを選んでいて。

 それで、期間が違うんだけれども、面白そうなツアーがあったから、今度二人で一緒に行ってみようかっていう話になったの。


 今日が学校休みだったから、そんな日に平日のバスツアープラン。

 ふふふ。とっても楽しそう。


「ねえねえ、彩。今日はどこ行くんだろうね」

「それは、やっぱりついてみないと分からないよ。なんてったって、ミステリーツアーだからね!」


 彩は、私の隣に座って興味津々で言った。

 私と彩で見つけた旅行の『ミステリーツアー』。

 どこに行くのかは、当日にならないと分からないっていう旅行なの。


 彩はいろんなことに興味を持って、試しちゃうような子なんだ。

 私もそれに乗っかることが多くて。

 いつでも冒険気分。

 友達になれて良かったって思うよ。



「それにしても、 観光バスの座席ってなんかいいね。すごいふかふか。いつも通学で乗ってるバスとは大違いだね」

「長い旅用にきっと良い席なんだろうね。ふかふかー」



 席も良いし。

 窓の外も良い。

 いつもの通学とは全然違う景色。

 今からどこに連れて行ってくれるんだろうな。

 ふふふ。楽しみだな。


 バスに乗り込む際に渡されたパンフレット。

 私と彩は、まだ内容を見ていないで、おしゃべりをしていた。


 しばらく進んだところで、添乗員さんの案内が始まった。


「本日は、ミステリーツアーへようこそいらっしゃいました。今日は、海岸沿いの道を走って、海の見えるカフェに寄って、最後に動物園に行く予定でございます。どうぞお楽しみくださいませ」


 彩は添乗員さんの説明と一緒に、パンフレットを見てる。


「へえ、そうなんだ。すっごい楽しそうだね」

「そうだね! これ全部楽しそうだけど、どこが一番楽しいかな?」


 私は、彩に聞いてみた。


「それはさ、もちろん……。全部かな!!」


 彩は、ウキウキして笑った顔を私に見せてきた。

 もちろん私も同意見。


「せっかくだから、いっぱい写真撮ったりしようね!」

「いいよ!  それ、楽しみだね!」


 あやは、うなずいて言った。


 私と彩を楽しい場所まで連れて行ってくれる、観光バス。

 乗ってるだけでウキウキだよ。


「いいね、観光バスでの旅行って。まだ乗ってるだけだけど、すっごい楽しい。好きだなぁ、こういうの!」

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