写真

 12月になりまして。

 週末はお掃除をさせられるのです。


 12月末に大掃除をすれば良いって思うんだけれども、お母さんはそういうのが嫌いらしい。

 夏休みの宿題みたいに、一カ月を使って計画的に掃除をしていきたいと言って、毎年12月の休日は小分けされた大掃除をさせられるんだ。

 小分けされてるから、私は小掃除って呼んでる。


 まずは自分の部屋ってことで掃除をしてる。

 衣替えは終わったつもりだったけれども、今年の秋はすごく暑かったから、夏服がまだ出ていた。

 これは、押し入れにしまおうっと。


 あれ……? これもこれも?

 いっぱいあるや……。


 私って、こんなに服持ってたっけ?

 実はオシャレだったのかな?


 同じ色合いの服を手に持ち、眺める。


 うんうん。

 些細な違いだとしても、気分によって替えていたってことは、きっとオシャレって言うことだよね。


 ふいに、妹に話しかけられた。


「お姉ちゃん。同じ服ばっかりでオシャレじゃないよ。いらないなら、この機会に捨てちゃいなよ」


 ……あれ? オシャレじゃないのか?

 ……ははは。


 オシャレじゃないか。

 大体の服がベージュ色だね……。


 いや。

 私が認めてしまったら、全敗になっちゃうから。


 どっちの服もオシャレだから。


 そう思ってると、妹に服を取られて、ゴミ袋へと入れられてしまった。


「あっ……」

「私のおさがり、あげるからさ。もうちょっとオシャレになろ? 無駄なものは捨てる! 断捨離しよう!」


 妹の方が、私よりも少し身長も高くて。

 初めて会う人には、私の方が妹扱いされちゃうんだよね。

 妹からのおさがりか……。

 うぅ……。


 しょうがない。

 服は捨てることにして。

 次の場所片づけるか。


 そう思って、押し入れを開けると、押し入れから物が溢れ出してきた。


 ――ガラガラガラ。


「……あぁ」


 せっかく片付けた部屋に、物が散乱してしまった。


「ちょっとお姉ちゃん、何やってるの!」


 怒る妹と共に、別の部屋からお母さんの声も聞こえてきた。


千春ちはる千夏ちなつ、まだ掃除終わらないの?」


 はは。これは、当分終わらなそうだな……。

 押し入れから出てきた荷物の中に、昔の写真が見えた。


 妹が、まだ私の身長に追いつく前の写真だ。

 この頃は可愛かったな。


「お姉ちゃん、写真なんか見てないで、掃除進めるよ」

「へへへ。この頃の千夏って可愛かったよね」


「えぇ? 今も私は可愛いけれども。どれどれ」

「これこれ。ほらツインテールで。これ私が髪結んであげたんだよ」


「えぇー。覚えてないよ。っていうか、お姉ちゃん、この時もベージュの服着てるし」

「本当だ……。いつの季節でも、ベージュが流行色なんだよ、きっと……」


「なにそれ」と言って笑う千夏。

 この頃って、なんだか懐かしいな。

 まだ写真がいっぱい転がってる。


 もうちょっと昔の写真もある。

 千夏がもっと小さい頃だ。すごく可愛い。

 ふふふ。


「写真って、昔を思い出させて良いよね」

「そうだね。いつでも、お姉ちゃんと私は一緒にいたんだね。そんな写真がいっぱい」


 そうだよね。

 千夏と私は、高校生になっても同じ部屋で。

 ずっと仲良しだな。

 写真を見ると、あらためて思い出すね。


「千夏、この写真は絶対捨てないからね!」

「もちろんでしょ。それは必要なものだよ」


 私のことをバカにしながらも。

 二人で写った写真は必要と言ってくれる、妹。

 私には、千夏っていう妹がいて良かったって思うよ。


「これ、千夏、裸で移ってる! 可愛い」

「あっ! それはダメ! 絶対捨てる!」


 ふふふ。

 写真って、良いよね。

 思い出がいっぱい詰まってる。

 私は、写真って好きだな。

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