フランスパン
ブレックファースト。
すごくオシャレな響き。
優雅に朝食を食べるって良いよね。
土曜日の朝は、親が仕事っていう事もあって、私は一人で朝ご飯を食べる。
親がお金を置いてってくれているから、好きに食べれるんだよね。
私の好きなお店。
パンがとても美味しいんだ。
駅前まで歩くとあるお店。
モーニングのセットが安くて美味しいんだけれども、意外と人がいないんだよね。
私は、そのお店のいつも窓際で食べる。
窓からは、川が見える。
川の流れを見ながら、朝食を食べる。。
我ながら、優雅。
私は、いつものモーニングをレジで注文して、席で待つ。
スマホをいじりながら待つんだけれども。
友達とメールしたり。
漫画鑑賞したり、アニメ鑑賞したり。
イヤホンもつけたら、どこでも一人の世界。
一人きりの時間。
注文が来たのか、近づいてくる影が見えた。
人影は私の前の席に座ったので不思議に思ったら、前には明がいた。
あれ? なんでこいつがいるんだろ?
「別に、俺がいてもいいだろ」
「別にいいけど、何でいるのよ」
私の優雅な時間なのに。
幼馴染の明。
「今日さ、何の日か知ってる? 11月28日」
「……フランスパンの日」
「何だよそれ」
「オシャレでいいでしょ」
「……まぁ良いか」
本当は私も何の日かわかっているけど。
絶対に言いたくない。
こいつが喜ぶから。
「11月の特別な日って言ったらさ」
私は、明の言葉を遮るように続ける。
「文化の日と、勤労感謝の日だけ」
言いかけた言葉が出せなくなってしまったので、口が半開きになったまま固まる明。
もう。私のこの、ムスッとした顔が見えないかな。
私の優雅な時間に邪魔して欲しくないわけですよ。
「他にもさ、月末にかけてさ、あるじゃん記念日が」
「今年最後の祝日は、もう終わりました。11月も営業終了です。言いたいことあるなら、自分で言えば」
「なんだよその言い方。絶対分かってるじゃん。今日はさ、俺の……」
「誕生日でしょ。はいはい」
私は明の声に被せるように言う。
「なんだよ。やっぱり分かってるじゃん」
「そんなこと、私のモーニングを邪魔してまですることじゃないでしょ」
「ひどっ……」
「女の子をとっかえ遊んでるような幼馴染に付き合う義理なんて無いでしょ」
「いや、勘違いしてるけど、俺はまだ誰とも付き合ったこと無いからな」
「はいはい」
今度は、明がムスッとした顔をした。
私が明に、付き合ってるっていう事を教えてあげよう。
「二人きりで遊びに行くのは、付き合ってることにならないの? 私は、それは、付き合ってることに入ると思うよ」
「二人きりっていうのは、今まで誰ともなかったぜ」
なによ、カッコつけちゃって。
……けど、そうかも?
確かに、いつも男友達と一緒に女の子と話してるのか。
「じゃあさ、お前の中で、二人で食事するって言うのは、付き合ってることになるの」
「もちろん、なる」
私がそう言うと、明は何か機嫌がよくなったようで、ニヤニヤと笑いだした。
「ここのお店って、何が美味しいの?」
「私は、フランスパンだと思うよ。絶品」
「じゃあ俺も、それ注文しようっと」
明は、レジでさっと注文すると、私の前の席にまた座った。
店員さんは、気を使ったのか、明の分を早めに用意して、私の分と一緒のタイミングで持ってきた。
「朝ごはんってさ、誰かと一緒に食べた方が美味しいだろ?」
「別に。どっちにしても美味しいもん、ここのフランスパン」
「それなら、俺も来週から通う追うかな」
そんなに、私の邪魔をしたいのか。
……ってね。
私もムキにならないで、素直になるとするか。
「奢ってくれるなら来週も来ればいいじゃん。ここのフランスパン好きだし」
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