テーマパーク
明日は、私と彼の記念日。
付き合ってから一年が経ったんだよね。
なんだか、早いなぁ。
一年前の明日、彼の方から私に告白してくれた。
私も、彼のことが好きだったから、すぐにOKしたんだ。
彼は、嬉しそうに笑ってくれた。
その笑顔が、私にとっての宝物。
そんな笑顔が、彼から毎日のように送られて。
私は幸せです。
……なんだか、惚気けちゃってるね。
……ははは。
ちょうど一年経った記念日だから、何か特別なことをしたいと思ってて。
でも、私たちはまだ高校生だから、お金も時間もあまりない。
どこに行こうかなと考えていたら、彼からメールが来た。
「明日、テーマパークに行こうよ」
私が大好きな場所。
彼の方から提案してくれた。
せっかくの記念日だもんね。
私はすぐさま返事をした。
「いいよ、行こう」
「じゃあ、待ち合わせは駅の改札口で。八時にね」
◇
元々の待ち合わせ時間も早かったけれど、私は、それよりも早く着くように準備をして家を出た。
テーマパークへ着くまでの道のりも、楽しみすぎて。
待ち合わせ時間よりも三十分は早く駅に着いたのに、彼はすでに待っていた。
彼は、私に笑顔で手を振ってくれた。
今日も早速、一個目の笑顔を貰っちゃった。
「まだ待ち合わせ時間前だっていうのに、早いんだね」
「お互い様だろ?」
私よりも、彼がこの日を楽しみにしていたのかと思うと、嬉しくなった。
私は彼の手を取ると、すぐにテーマパークに向かった。
テーマパークの入口に着くと、人がたくさん並んで待っていた。
まだ開園前だったのだが、みんな楽しそうにしている。
私達が特別な日をここで迎えるように、ここへ来ている人達も特別な日なのかもしれないな。
みんな笑顔で、私は夢の中にいるみたいだった。
開園すると、ゆっくり歩いて入場して、ジェットコースター乗り場へと向かった。
ジェットコースターは、私の好きなアトラクション。
スピード感と高さが、私の心をくすぐる。
彼と一緒に乗りたいなって思ってた。
開園したてであったけれども、少し並んでいた。
この並ぶ時間も含めて、テーマパーク。
私達は、並びながら話をする。
一年前は、お互いの子と全然知らなかったはずなのに。
なんだか、一年も経つと全部を知ってるみたいな感覚になる。
「昨日やっていたアニメさ、私泣いちゃって」
「わかるわかる、主人公が応援されてるシーンだろ? あそこはうるっとくるよね」
笑うポイントも、泣くポイントも分かってる。
いつもと同じような話をするけれども。
なんだかやっぱり特別感があって。
一年間一緒にいたんだなって。
話してるだけなのに、嬉しくなって来ちゃう。
色々とお互いに分かってるけれども、初めてわかることもあって。
「俺さ、実はジェットコースター苦手なんだよね」
「えーっ? そうなの? 大丈夫?」
「せっかくなら、俺も乗ってみたいなって思って」
一年経っても、初めてわかること。
これからも一緒に過ごしたら、もっと彼を知れるのかな。
「私の手を握ってれば、大丈夫だよ」
私は笑って答えた。
これからも、ずっと一緒にいられるといいな。
私も言ったことない秘密を、教えてあげようっと。
「今日は、ここに誘ってくれてありがとう。私ここのテーマパーク大好きなんだ」
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