漫画

 歴史の授業では、誰がいつどうなったかっていう、過去の出来事を追っていく。

 私にとっては、それは既に全部理解しちゃっている。

 多分、ここにいる誰よりも。


 語れって言われたら、隅から隅まで語れるよ。

 教科書に載っていないような事までわかるからね。



 ちょうど、先生が私に質問をしてきた。

 江戸時代の幕末についてだった。


「坂本龍馬は、どんな人物でしたか?」


 これは、超初級質問だね。

 私は、すぐに答えを言った。


「坂本龍馬は、幕末の志士で、薩長同盟や戊辰戦争などに関わりました。幕府と倒幕派の間に立って、日本の近代化に貢献しました。でも、最後は暗殺されてしまいました」


 私があまりにもすらすら言うものだから、先生は驚いていた。


白沢しらさわさん、坂本龍馬に詳しいですね。すばらしいです。ちなみに、彼が暗殺された場所はどこだったかも知ってたりしますか?」


 先生は質問を続けたが、私は即答した。

 中級質問にも満たないね。


「京都の近江屋です」

「そうですね。ではでは、彼が暗殺された年は?」


 先生がさらに聞いてくる。

 私に、坂本龍馬の知識では勝てないですよ。

 何でも知っているもん。


「1867年です」

「すごいですね。全部正解です。もしかして、日付まで分かったりしますか?」


 私は、もちろん知っている。


「11月15日です」


 もはや先生も、私が正解を言うだろうという顔をしてた、


「白沢さん、凄いですね。皆さんも白沢さんをお手本に勉強に励んでください」



 ◇


「白沢さん、すごく勉強できるね! どうやって勉強しているの? 教科書とか読み込んでるの?」


 授業の後に友達からそう言われたが、私は心の中で笑った。


「私は、別に勉強なんてできないよ。実はね、私は歴史の教科書なんて、全然読んでないんだよね」


 友達は、驚いていて聞いてきた。


「じゃあなんで、歴史に詳しいの?」

「実は、私の愛読書がね、歴史の漫画なんだ。特に、幕末を舞台にしていてね。その漫画は、幕末の志士たちの生き様や思想、活躍などをリアルに描いているんだ。さっきの質問の坂本龍馬も登場するし、他にも、西郷隆盛や勝海舟、桂小五郎なども出てくる。この漫画を読んでいると、歴史が身近に感じられるし、興味がわくんだ」


 ちょっと早口になっちゃったかな……。

 好きなものはしょうがないよね。


 友達は、特に気にせず続けてきた。


「えぇーそうなの? 漫画って聞くと、遊んでるみたいな感じするけど……。白坂さんって、テストでも点数も良かったのに。本当に漫画だけなの?」

「ふふふ、本当に漫画だけなんだよ」



「そしたら、私も漫画を読んでみようかな。今度、貸して欲しいな?」

「いいよ、いいよ。読んだら一緒に話そう!」


 漫画って、面白いだけじゃなくて、ためになる。

 それを、みんなもわかってくれると嬉しいな。


 みんな、私みたいに、漫画好きになって欲しい。

 そして一緒に喋りあいたいな。

 そのくらい、私は漫画が大好きだ。

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