サツマイモ
秋は、空が高い。
綺麗なうろこ雲が流れて行く。
日差しが当たると少し暑いけれど、風は涼しくて気持ちがいい。
風に乗って、土の匂いが香ってくる。
「すーーーー」
ふう。
空気が美味しいー。
「皆さん、軍手をつけましたか?」
「「はーい」」
私は今、学校の行事でサツマイモ堀りに来ているのです。
『秋の味覚探検隊』って言って、校外学習というものの一環です。
私は物知りなので、何でも知っているんです。
テストの点数も良いし、通知表だってみんなと比べるととっても良いし。
「じゃあ準備ができた皆さんに質問です。サツマイモはどこにあるかわかりますか?」
サツマイモは、地面の中にできるって知っている。
根が栄養を蓄えるって図鑑に書いてあったもん。
「そうです。根ですね。それでは、どれが大きいサツマイモかわかりますか?」
うーん。
葉っぱが大きいやつなのかな?
けど、それじゃあ根に栄養が行ってない気もするし。
かといって、小さいやつは違うと思うし。
葉っぱが枯れかけているのも、根に栄養が蓄えられる気もするし、違う気もするし。
「皆さん、予想しましたか?それじゃあ、大きいと思う芋の前に立って掘ってみましょう」
男の子達は、我先にと大きい葉っぱが茂る方へと向かって言った。
やっぱり葉っぱが大事なのかな。
私も、出来れば大きい芋を掘りたいな。
考えていたら、あまり選択肢が無くなってしまった。
うぅー……、しょうがない。
ここにしよう。
「そこ良いよね。俺もそっちかこっちかで迷ったんだけどな」
話しかけてきたのは、山田君。
スラーっと身長が高くて、カッコいい。
山田君の隣なら、当たりかも。
……ラッキー。
「位置に付けましたか?それじゃあ、芋を掘ってみましょう。まずは手で優しく土を掘って下さい」
「「はーい」」
大体20cmから、30cm付近に芋があるらしいの。
ゆっくりゆっくり深く掘って。
「って、うわっ。虫がいる。ヤダヤダ。怖い、怖い!」
私、虫嫌い。
何かの幼虫なのかな?
白くて、頭のところだけオレンジっぽい色してて。
丸まってたやつが、うごうごしてた。
ああぁ、見ちゃった。
気持ち悪いーー。
「これ、そんな怖がることかよ?」
山田君が、私が掘っていた穴のところへと来た。
私から見えないように、ポイっと放ってくれた。
「じゃあ、芋掘ろうぜ。そっちの芋も、俺期待しているからさ。絶対大きいはずだよ。虫が出たらまた取ってやるから」
「うん」
頼もしいな。山田君。
私は、おっかなびっくり掘っていったが、もう虫は出てこなかった。
代わりに、大きい芋に付き合ったった。
「おやっぱりそっちの方が、大きいかー。良かったな、
「へへ。ありがとう」
あらかた掘り終わったら、ゆっくりと抜いていった。
芋づる式にっていう言葉は、ここから来たのかと思うくらい、芋づるがくっついていて、わんさか取れた。
「やったー、大きいの撮れたよ! 山田君のおかげだよ、ありがとう! 私サツマイモ大好き!」
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