レインボーブリッジ

 今日は、お台場のテレビ局へ行こうって山田君が言ったので、そこへお出かけなのです。

 私はとっても嬉しい。


 なんでかって言うと、私の彼氏の山田君はアウトドア派だからです。

 お台場へ行くっていうのもアウトドアだって思うかもしれないですが、山田君はいつも『山に行こう』とか、『海に行こう』とか言いだすんですよ。


 それに連れられて、私も山へ登り。

 海へ行く時だって、なんだか延々と泳いでるんですよ。


 アクティブ過ぎちゃって。

 そういう元気なところが好きだったりするけれども、毎日連れ出されてもちょっと疲れ気味で。

 けれども、今日はお台場。

 ふふ。

 オシャレなデートが出来そうだなー。


「おはよう!」


 待ち合わせ場所に着くと、いつものアクティブな恰好の山田君がいた。

 山にでも上りに行くのかっていう長袖のアウターを着て、大きなリュックを背負ってる。


 一方で私は、おしゃれな白いワンピースに、オシャレな靴。

 どうしても気になったので聞いてみた。


「おはよう山田君。その恰好は、山登りでも行くのですか?」


 山田君はキリっと顔を引き締めて、うんって頷いた。


「ここから、歩いてお台場に行こう!」


 うん?

 お台場に歩いていく?

 お台場でデートするっていうのに、待ち合わせ場所としては変だとは思ったんですけれども。


 芝浦ふ頭駅に集合って言うから。

 ここからゆりかもめにでも乗って、優雅にお台場を目指すと思っていたのですが……。


「歩いて渡れるんだよ! レインボーブリッジってね!」

「う、うん」


 そう言って、歩き出す山田君。

 いつもマイペースなんだからなー。


 ニコッて笑って私がついてくるのを待ってる。

 まぁ、山田君が楽しそうだから良いか。



 ◇



 橋の下まで来るとビルのような建物があった。

 そこに入ると、レインボーブリッジの説明が書かれた展示物がいっぱい置いてあった。


「レインボーブリッジって1993年に建てられたんだね。今年で30周年なんだ。へぇー」

「そうなんだ。山田君知ってたわけじゃ無いの?」


 そう聞くと、山田君は曖昧な顔をしてる。

 これはきっと知らなかったんだね。


「私は知らなかったけど、こんな日に歩いて渡るなんて、何だかいいね」


 一通りエントランスの展示物を見たら、エレベーターで遊歩道まで上がる。

 さすがに階段に上がろうとする山田君は私が止めました。


 エレベーターは、外が見えるようになっていて、上がって行く時には綺麗な景色が広がっていった。


「山田君、すごい綺麗だね!」


 エレベーターを上がると、車道と歩道が分かれていて、真っ直ぐ続いていた。

 右手側には、海が広がっていて、お台場のテレビ局がが小さく見えた。


 海からの高さもあって、風が気持ちよかった。

 夏なのに、涼しい風が通り抜ける。


 山田君が歩いていくって言った時はびっくりしたけど、レインボーブリッジを歩くっていうのもいいなって思いました。

 山田君の手を引っ張って、こちらを向かせて。

 面と向かってお礼を言う。


「山田君、連れてきてくれてありがとう。私レインボーブリッジ好きになりました!」

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