女子大学
オープンキャンパスに行こうって誘われた。
目的の大学の最寄りの駅に集合ねって言われたけど、一向に来ない。
オープンキャンパスっていうのを私はこの前初めて知った。
志望する大学を見学できるらしくて。
大学の立地なんかはWebで調べられるけど、実際の大学に入ってみたりできるので大学に入学する前にイメージがつくっていうので、予備校でオススメされていた。
まだ高校二年生だけど、今くらいに志望校を考え始めるのが良いらしい。
三年生じゃ遅いんだって。
ちょうど夏休み中にやっているオープンキャンパスがあったし、私も気になる大学だったので
全然待ち合わせの時間になって来ない。
ちょっと電話をしてみよう。
待っている間にいじり過ぎて暑くなった携帯電話で、履歴から
ブチッ。
何だかすぐに切られちゃった……。
その後すぐにメールが来た。
――ごめん! 集合場所間違えちゃった。
――御茶ノ水駅が最寄駅じゃないんだね。とんだ勘違いしてたよ。
私も調べるまで分からなかったけど。
大学名と同じ駅名があったら、そこが最寄り駅かなっていうのは勘違いしちゃう。
こういうところも、オープンキャンパスに来て確かめるっていうのも良いところかもしれない。
けど、ちゃんとしてよね。
電車の中は涼しいかもしれないけど、待っているコッチはとても暑いんだから。
こんな暑い中でこれ以上携帯電話をいじると、爆発でもするんじゃないかって思って携帯電話は閉まった。
自動改札をボーっと眺めて待つ。
改札を出てくる人や、改札へ入ってくる人って意外といるなー。
若い人が多いし、何だか綺麗な人ばかりに見える。
大学の最寄り駅っていうことは、この人達は私の志望している大学の学生なのかな?
結構有名な女子大学だし、そういう人達が多いのかもしれない。
大学生っていうと、髪の毛を染めて派手目な恰好をしたり、お化粧が濃かったりっていうイメージだったけど、全然違った。
そういう人は皆無で、服装だって地味目な感じ。
かと言ってみじめな感じではなくて、みんなお嬢様というような清楚な雰囲気を纏っていた。
改札を出て行く人のほとんどが、日傘をさして暑い光の中へと歩いて行く。
これがきっと、私の行こうとしている女子大なのかな。
そうだとしたら、なんだか嬉しくなってきた。
私も、この人達の仲間に入ってみたいな……。
ずっと眺めていても飽きなかったが、意外と早く恵が改札に現れた。
改札から出てくると、すぐに私の方に駆け寄って来て綺麗にお辞儀をした。
「ごめんなさい。間違えました! 暑い中待たせちゃってごめんね! なにかジュースでも奢らせて!」
恵は、すごく申し訳なさそうにしているけれど、私は全然怒ってなかった。
むしろ、女子大の学生さんを見ることが出来て逆に感謝の念が湧いていた。
恵に頭を上げさせて、私は微笑みながらお礼を言った。
「大丈夫だよ。むしろ、遅れてきてくれてありがとう。待っている間の時間で、私は今から行く女子大学が好きになれたみたい」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます