Webコミック

 今日は隣町までお買い物に行く予定。

 通学定期があるって便利。

 交通費を気にせずに隣町まで行けちゃう。


 自動改札に定期を当てて、すいすいと通る。


 いつもの駅でも時間が違うと、景色も違って見える。

 制服姿の学生や、スーツ姿のサラリーマンなんていなくって。

 親子連れやカップルなんかが多い。



 電車を待つのはいつもの場所。

 時間は違くとも、なんだかいつもの場所が落ち着く。

 電車が来るまで時間もあるし、いつものルーティーンのように携帯電話を取り出す。

 待ち時間ができると、ついつい携帯を見ちゃう。

 悪い癖なのかもしれないけど、それが現代人だよね。


 私が見るのは、Webコミック。

 手軽に持ち運べる携帯で、どんなコミックも読めちゃうっていうのが良い。


 曜日によって更新されるコミックも違うし。

 毎日0時の日付が変わる時刻に新しい話が更新されるの。

 それが楽しみで、ギリギリ0時を超えるように夜更かししてたりする。


 昨日はすぐ寝ちゃったからその分を移動時間なんかに読めるんだ。

 この時間が何といっても幸せ。



 夢中になって読んでいると、電車がホームについていてドアが開いたようだった。

 前に並んでいた人が歩き出したのが見えたので、それが見えたので気が付いた。


 お盆だからなのか、電車の中はガラガラ。

 だけど、電車に乗るのが遅れたせいもあって、座席には座れなかった。


 乗客は、一つ飛ばしに席に座っている。

 夏は電車の中も少し暑いし、広い座席でくっつく必要なんてないからね。

 そういう座り方になるのも必然で。

 なんとなく人と人の間に入るのって嫌なもので。


 しょうがないから、つり革に掴まって電車に揺られた。

 つり革に掴まっても、片手は空くのでそちらで携帯を持ってコミックの続きを読む。


 楽しみにしているコミックは裏切らない。

 毎週きちんと更新されてるし、それでいてクオリティも高い。

 これってどうなっているんだろうって思う。


 ちゃんと作者様に還元されているのかな?


 作者様ありがとうございます。

 推してるコミックの今週分を読み終わると、毎回『いいね』を押すようにしている。


 どうか、来週も更新してくださいませ。

 私にできるのはこれくらいなのです。

『いいね』を押し終わると、次のコミックを開いて読み始める。


 こうやって、無限に読み続けている。

 次のコミックも、ちゃんと更新されてる。

 良かったー。


 表紙が見えるだけでテンション上がっちゃうよね。

 コミックを開くと、このシーン何だっけっていうシーンから始まっている。


 一週間も経つと記憶無くなるよね。

 それも沢山読んでるし。

 そういう時は、先週分に戻る。


 どんな終わり方だったかなと思って開こうとして、つり革を離して両手で携帯を操作する。

 そんな時に限って電車が大きく揺れた。


 わ、危ない。

 体が大きく揺られて、体勢が崩れてしまった。



 ポフッ。



 崩れかけた体制を支えてくれる柱のような存在がそこにあった。

 これって、誰かの体だよね。

 まずいまずい。謝らないと。


「すいません」


 コミック読んでて転びそうになるなんて少し恥ずかしくて、下向き加減で支えてくれた人に向かって謝った。

 上の方から声が聞こえる。


「つり革は掴んでおこうな」

「はい」


 そう言いながら顔を上げると、そこには先輩がいた。


「そんなに夢中になって、何見てたんだ? 」


 恥ずかしいところ見られちゃったな。

 それも、ちょっと甘いラブストーリーのコミックだったし。


「Webコミックです……」



 私がそう答えると先輩は、明るい声で答えてくれた。


「Webコミックって良いよな! ‌俺も読んでるよ」


 そう言う先輩の顔は、とっても嬉しそう。

 同じ趣味って言っていいのかな。

 私の読んでるコミックも知ってるのかな?

 先輩ってなんだか掴みどころがないかと思ったけど、なんだか話してみたくなった。


「先輩も好きなんですね。私も好きなんです、Webコミック!」

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