テレワーク

 やっと今日から私は夏休み。

 長かった一学期も終わったよー!お疲れ様です、私。


 昨日はちょっと夜更かししたけど、今日の起床時間はいつもと同じだった。習慣って怖いね。

 いつもと違うのは、朝のラジオ体操をすることだ。

 朝一で運動ってなかなか辛いものがあるけど、これで一日健康でいられる!



 ふう。

 ラジオ体操の後はのんびり。

 学校へ行く時間になってものんびりテレビを見られる幸せ。

 夏休み最高。


 お母さんは、毎日テレワークなので家にいる。

 私も休みで家にいるからね、観察してみよう!



 私が家を出る時間の後、お母さんはどうするんだろうなー?



 8時。

聡子さとこ、毎日計画的に宿題するんだよー」

「はーい」



 そう言われてもね。

 まだ初日だしと、普段見れない朝のテレビ番組を見てみる。

 朝も、面白い番組をやってるんだね。

 そう思いながらダラダラとお母さんと一緒に見た。



 8時45分。

 お母さんがおもむろにリビングテーブルにノートパソコンを取り出して来た。


「お母さん仕事するから、静かに宿題していてね」

 お母さんが仕事するならと、私も宿題を取りだしてきてやりながらお母さんを見てみる。


 いつになく真面目な顔している。

 お母さん仕事の時ってそんな感じなのか。


 私も勉強しているとこはそんな顔しているのかな。

 よく似てるって言われれるし。



 9時30分。

 お母さんは、会社携帯を取り出してきた。

 そして、ワイヤレスイヤホンを付けて話し始めた。


「本日の予定は、11時から昨日のミーティングの続き、午後は15時に別のミーティングで……」


 わーーー。

 お母さん、いつもと違って真面目に話してる。

 すごいすごい。



「それでは、今日も一日よろしくお願いします」


 ほえー。そういう感じに仕事してるんだ。


 あれ? ‌一回休憩なのかな?

 イヤホンを外して、台所へ向かった。


「聡子、なんか飲む?」

「いや、大丈夫」


「いらないなら、いいか。宿題終わったら好きにしてていいからね」


 それであれば、好きにお母さんを観察させてもらいます。



 11時。

 今度は、お母さん怒ってる。


「その説明内容は違うと思う」


 お母さんも怒るんだね。

「これとこれが足りないから付け足しておいて。それで……」




 ほー。私に対して言うみたい。

 それよりも、もっと厳しい口調かな?

 ずっとそれが続いた。

 もう終わったのかな?

 イヤホンを外して。


 また台所か。

 この間に私もトイレ休憩しようかな。



 私がトイレから帰ってくると同時に、お母さんは炊飯器のスイッチを入れていた。

 仕事の合間に、一回休憩挟んだと思ったらお米を研いでたのか。

 しかも、研ぐの早っ! もう終わってるし。

 私がトイレに行く間に終わってる。


 他にも、なんかIHコンロの電源を入れたりしてる。



 12時。

「良し! 昼休憩!」


 お母さんは、椅子から立ち上がって伸びをしながら私に話しかけてきた。


「聡子、お昼はハンバーグカレーだよー!」

「やったー!」


 その時、ちょうど炊飯器の炊きあがる音がした。

 IHコンロのタイマーも終わる音もした。


 さっき仕込んでいた調理器たちが全部音を立てて終わっていく。

 IHの方を見ると、湯銭のレトルトカレーとハンバーグが温められていた。


 ちょうど休憩時間い合わせて。

 これをいつもやってるのか。

 お母さん、すごい。


 炊飯器かご飯をよそいながらお母さんは聞いてきた。

「今日の宿題は順調?」


 仕事の合間に、私のことまで気にして。

 色んなことが同時にできて。

 お母さん実はバリバリのキャリアウーマンだったんだね。


「お母さんってすごいよ」

「何よ急に? ‌お母さんはいつも凄いでしょ。やっと気づいた?」


 お母さんは、いつも通りの優しい口調で冗談っぽく言う。

 続けて何か怪しがってるように聞いてきた。


「なんかあったの? そういう宿題? お母さんの良いところを書こうみたいな?」


 私は笑って答える。

「違うよ。優しいお母さんと一緒に入れるから、テレワークって好きだなと思ったの」

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