体育祭実行委員
学校の屋上ってすごく憧れがあった。
よくアニメとか、ドラマとか、小説とか。
学校の屋上に上がってお弁当食べたり、学校の屋上で告白したり、されたり。
なにかとイベントがあるところ。
そんな屋上って、現実世界では中々入れなかったりする。
そりゃあ、危ないもんね。
例えば、自殺とかされた日には目も当てられれないし、事故だって絶対に起こしちゃいけない。
だから、屋上へは誰も上がれないようになってるんだ。
けど、憧れだけはずっと持ってて。
それが、叶う日がやって来たのです!
「とても楽しみだったんだ、屋上に来るの!」
「はしゃぎ過ぎないようにしないとダメだよ? 私たちの行動一つで、来年からはこのイベントが無くなっちゃうかもなんだからね!」
一緒にいるのは、
体育祭実行委員をやってるんだ。
夏休みに入る前の終業式の日、この日から『体育祭』の準備期間が始まる。
うちの学校は、なぜか体育祭に力を入れてて、それぞれの出し物に対して、夏休みを使って練習したりする。
出し物っていうのは、ダンスとか、すごく大きい『パネル』っていう物をみんなで作ったりして、出来栄えを競ったり。
それを夏休みにやる。
学校は休みなのに、練習の為だけに学校に来たりもして。
休みだなら来る来ないは自由なんだけど、なんだかんだみんな学校へ来て、友達とはしゃぎながら楽しんでたりするんだ。
それの『開幕宣言』をするのが、今日終業式の日なのです。
私と景子は屋上に来ていた。
元々何をするための場所でもないので、安全策なんていうのはついてなくて、真っ平らなコンクリの場所。
ひとつ間違えばすぐ落ちちゃう。
本当に、気をつけないといけない。
「開幕宣言は、屋上からの昼花火ってずーーっと昔の先輩方から受け継いでるんだからね、気を引き締めましょ!」
「はいっ!」
体育祭実行委員の三年生がその役割を担う。
高校生と言っても、もうほぼ大人だから粗相は無いだろうと先生達も許可を出してくれている。
後、先生たちもなんだかんだで体育祭を楽しみにしてたりするのだ。
屋上には、最低人数の二人だけ。
先生達からも信頼を貰っている私と景子。
絶対にミスは出来ない。
市販の打ち上げ花火。
事故を起こさないようにと気をつけながらも、開幕宣言自体も成功させないといけない。
きっちりと角度を固定して。
地上で何回も練習したようにやる。
私と景子なら大丈夫。
一年生の時からずっと夢見てた。
当時の先輩達が『開幕宣言』をしてて。
私と景子は、それを帰りがけに見ていて。
三年生になったら、絶対やろうねって言ってた。
「
「大丈夫! 準備オッケーだよ!」
並べ終わった打ち上げ花火に順番に火をつけていく。
時間も計算に入れて、秒数をストップウォッチで数えながら点火してく。
ヒューーー、ドーーーン!
ドーーーン!
順番に打ち上がる花火。
私達のずっとやりたかったこと。
高校に入って一番やりたかった事がやっと叶った。
「
「このためにずっと頑張って来たもんね!」
夢が叶ったと思って、ちょっと私がしんみりしてると景子が微笑みかけてくれた。
「ここがゴールじゃないからね! 体育祭を成功させることまでが私達『体育祭実行委員』の、つとめだからね! 一緒に頑張ろう!」
そう励ましてくれる景子も、ちょっと涙ぐんでる。
「私、体育祭実行委員、景子と出来てよかったよ! 高校生最後の夏、頑張ろうね!」
その場で私と景子は抱き合った。
体育祭実行委員になって良かった。
やっぱり、この委員会、大好きだ!
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