ちらし寿司

 一合分を擦りきりで取って炊飯窯にジャー。

 もう一合分もすりきりで。

 ジャー。


「指差し確認!」


「よしっ!」


 お父さんが後ろで確認してくれている。


 お水を出して、と。


 ――じゃー。


 これを研ぐ!


 ――しゃかしゃかしゃか


 お水を捨てて。


 ――じゃー。


 後ろをちらっと見ると、お父さんがうんうんと頷いてくれる。

 そんなお父さんの方を振り返って、人差し指を向けて。


「良し!」


 私がお父さんを確認して、「良し」を出してあげた。

 お父さんも私を指さして「良し」ってしてくれた。


 ふふふ。


 最後に、線のところまで水を入れて。

 このくらい。



 水平なところに置いて見てみて。


 うーん。



「ぴったり! 良し!」

「良し!」


 お父さんも、水加減を後ろから確認してた。


「けど、ちょっとだけ水減らすね」



 あらら。ちょっと失敗しちゃったかな。

 うーん。

 けど、大丈夫!



 炊飯窯を、シンクから持ち上げて。


 ちらっとお父さんを見ると、大丈夫かなって目で見てる。


 大丈夫なのです。

 私は完璧お手伝い星人です。


 ふふふ。


 あ! 炊飯窯の底を拭かないと。

 慌てて忘れるところだった。


 キッチンペーパーを出して拭き拭き。



 お父さんは何をしてるかなー。


「……って、何で携帯いじってるの! お父さん! ちゃんと見てて!」


「あ、ごめんごめん」



 炊飯器にセットして。


「良し!」


 これで、あったかいご飯を炊きまして。


「じゃあ、しずくちゃん休憩ね」

「はーい」


 炊きあがるまで休憩なのです。

 ふふふ。



 さて、今日は何を作っているでしょうか!


 シンキングタイムは、炊きあがるまでの30分です。



 ◇




 ――ティーロリーロリーロリ。


 炊けた!


 よしよし。

 炊飯ジャーを開けて、ボールにご飯を移すのです。


 すくって、よいしょ

 すくって、よいしょ。



 そして。

 これを入れるのです!


「ちらしずしの素一!」



 あ、答え言っちゃった。


 まぁいいか。これを入れてですね。

 しゃもじで混ぜ混ぜ。


「切るようにだよー」


「はーい」


 よいしょよいしょ。


 あとはこれを冷ませば完成なのです。

 良い感じにできました。


 この後、お皿に盛りつけです。


 給食当番でやってるから、こんなのお茶の子さいさいです。

 やっぱりお父さんは、大丈夫かなーって目で私を見てきて。


「お父さん、雫はこれでもNo1給食当番ですよ」

「そうなのか? じゃあ、お任せしようかな」


 安心したのか、お父さんはちょっとだけ離れて見守ってくれていた。


 ご飯をお皿に盛ったら、この上に少し具を乗っけるのです。

 そこはお父さんにお任せして。


 お父さんは、お刺身も乗っけてくれる。

 マグロのたたきも乗っけるのが美味しいのです。


「お父さん、雫のいっぱい乗せて」


「はいはい。いいよー」



 やったー!

 これで、完成なのです。

 雫特性のちらし寿司です。


 美味しいそうでしょ。

 食べてみないとわからないって?


 じゃあ食べてみましょう。


「じゃあ、お父さん、手を合わせてください」


「「いただきます!」」


 ふふふ。

 私は、ちらし寿司が大好きなのです。

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