浅草線
ふふふ。
今日は浅草にデートなのです。
「浅草って、地下鉄に乗り換えして行くんだね」
電車がホームに着いた。
ドアが開くと、そこには都会が広がってる。
都会を知らない私は、何もかもが新鮮。
「乗り換える地下鉄は、『浅草線』って言うんだ。カッコイイマークだね! 赤い丸にAって書いてある」
駅の乗り換え先は、柱などにも書いてあるけど、絶対迷う自信がある。
「そうそう、これを辿れば乗り換えできるよ?」
私が地下鉄の乗り換えが分からないからって、
新橋駅で乗り換え。
いつも乗ってる電車なら乗り換えは分かるんだけど、初めて来る駅だと何も分からなくて。
いつもの駅を通り過ぎた後は、全部が初めてだった。
知らない世界が広がってた。
ホームがいっぱいあるなー……。
そして、今いるホームは人で溢れかえってる。
人混みでハグれまいと、彼の手をギュッと掴んだ。
そしたら、彼もしっかり掴んでくれる。
そういうところは、ちゃんと優しい。
頼りになるな……。
人混みの流れに乗ってホームから改札階へと降りていく。
「地下鉄は色々複雑だからね。こっち」
なんだか、いつもより優しい気がする……。
改札まではすんなり来れた。
意外と乗り換え簡単なのかな?
――ピッ。
改札を出たら、左右に開けたところに出た。
街が広がっていた。
そこで私は電光掲示板を見失った。
「ああ、これは私一人だったら迷う……。やっぱり、香取君に着いてきてもらって良かった。頼りにしてます」
「はは。任せて! ここは、左です」
香取君は、ギュッと手を握ってくれた。
左に曲がって少し進む。
あ、電光掲示板が復活した。
地下へ降りる階段の方を矢印で指している。
『浅草線』と、あと黄色い『銀座線』も地下へと矢印で示されていた。
『銀座線』が最後の敵だな……。
こいつがきっと惑わしてくるんだよね……。
同じ地下鉄だから、銀座線も地下にあるんだろうけども。
手を繋ぎながらゆっくりと地下に降りると、そこにも街が広がっていた。
なんだここは……。
ただ乗り換えたいだけなのに。
東京って、広いんだなぁ……。
周りをキョロキョロしちゃう。
ああ、また電光掲示板を見失った……。
「こっちです」
連れて行かれた先には、更に地下へと降りる階段があった。
「また地下へ……。私にはやっぱりこの乗り換えは無理だったよ……」
そこから進むと、改札まで無事にたどり着けた。
「ありがとう、香取君!」
香取君は、ニコッと微笑み返してくれた。
浅草線のホームへとやってくると、黄色い車体が勢いよくやってきた。
「あれ? 黄色い電車。赤いロゴだから、電車も赤いと思った」
そう言って香取君を見たら、すごく興奮してる。
「これ! レアだよ! すごい見れるなんて!」
意外と電車好きなんだ。
香取君のそんな姿を見れた事がレアだったよ。
乗り換えは大変だったけど、浅草線自体がなんだか思い出になったなー。
「まだデート始まってないのに、楽しいね!」
そう言って笑いかけてくれる。
もう、これはデートですよ香取君。
……ふふふ。
黄色い電車は、ハッピーな印!
浅草線って、好き!
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