早起き
今日は、
晴れて良かった。
私の日頃の行いが良いのかもしれない!
毎日お手伝いやってるのが効いたのかな?
お母さん、いつもお手伝いさせてくれてありがとうございます。
気合を入れて、手帳を取り出す。
赤い付箋が付いているページを開く。
――今日行くところ。
まずは映画館。
映画を見終わったら、おしゃれなランチ。
その後は、ゲームセンターでプリクラ撮りたい……。
疲れたらスイーツ。
A5の手帳に、今日の予定が書いてある。
これで大丈夫だよね。
問題ないはず。
一通り読んだあと、もう一度上から読み直す。
何回読んでも完璧。
うん。大丈夫。
私の秘密の手帳。
その中でも、このページだけは特別。
初めてのデートについて書いたページ。
何日もかけてしっかり準備したし。
この計画で大丈夫!
次に、黄色い付箋が付いているページをめくる。
お姉ちゃんからの『秘伝メモ』が書いてあるページ。
そのうちの1つ
『まずは駅前で待ち合わせ』
メモの言うことをちゃんと守ってる。
モテモテのお姉ちゃんの言うことだもん。間違いない。
今日のデート場所も、アドバイス貰ったし。
映画館の建物に、お店がいっぱいあって。
レストランもあるし、服屋さんも、ゲームセンターもある。
そこが良いってお姉ちゃん言ってたもん。
秘伝メモの1つ。
『話題に詰まったら、お店に入ればどうにかなる』
困ったときはこれを実践する。
どこでも大丈夫。
先週下見も来たし。フロアは把握済み。
何かあっても、きっとうまくいくはず。
一通り手帳を見たので、それを閉じて鞄へとしまう。
視線を上げると、目の前には駅前の景色が広がる。
初夏の朝らしい、すがすがしい空気を感じる。
それにしても、デートスポットの駅だと言うのにカップルも歩いていない。
犬の散歩をしているおじさんか、休日なのに働きに来ているサラリーマン風の人がちらほら。
余裕をもって早めに出たからかな。
けど、さすがに早く出過ぎちゃったか。
スマホを取り出して画面をつけると、6時30分であった。
初デートだもんね。
このくらいは普通だよね。
……9時待ち合わせだから、さすがに朝ごはんでも食べてこようかな。
駅前の情報は調べてなかったな……。
周りを見ると、一軒喫茶店があった。
駅から離れないようにするには、ここだけかな?
とりあえず朝ご飯食べちゃおう。
歩いて喫茶店へと向かい中に入ってみると、やっぱり空いていた。
席はガラガラ。
「いらっしゃいませ。お好きな席へどうぞ」
駅前が見える席がいいな。
もし、
窓際の席へと進むと、1人の男の子が座っていた。
この子、気合入れておめかししてるな。
オシャレな服。
初めて着るのかな?あまり着慣れてない感じ。
窓際は、ここしかないか。
しょうがないので、その男の子の隣へと座る。
「すいません、隣失礼します」
「どうぞ」
……?
聞きなれた声だ……。
「「あれ?」」
駿佑君がそこに居た。
「……朝、早いんだね」
「……駿佑君の方こそ……」
完全に計画外だ……。
どうしよ……。
「今からデート開始でいいのかな……? 今日はよろしく」
駿佑君は目線を外に向けたまま頬を赤らめて、そう言った。
計画外だけど、早く会えて嬉しい……。
早起きすると良いことがあるのかも。
この時から、私は早起きが好きになった。
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