昼休み

 GWの間の平日。

 こんな日に限って、良く晴れている。

 正直、学校になんて来たくなかった。

「なんで学生は9連休じゃないんだー」って、パジャマ姿のお父さんに文句言いながら家を出てきて。

 こんな日は集中なんてできないです。まったく……。


 一日中日向ぼっこでもしてたいなー。


 すぐ隣にある窓に目をやる。

 窓の外には雲一つない晴天が広がっている。

 太陽が南に昇る付近。直接日を浴びないで済むのでちょうど良い暖かさ。


 この席、日が暖かいんだよね……。

 学校の中でも日向ぼっこはできるかー……。



 そんな風にボーっとしていたら、チャイムが鳴って4限目の授業が終わった。

 先生が何かを言って部屋を出るが、私の耳には何も入ってこない。

 暖かい陽気の中のまどろみが解けていなかった。


 のんびりと意識を取り戻そうとしていると、視界に春香はるかが入ってきた。


「おいっすー」


 私の前の席に座って、椅子だけ動かしてこちらを向いた。

 私の様子など気にせずに、持ってきたお弁当をドンっと私の机の上に置き、すぐに食べる準備を始めている。


 巾着袋から取り出した2段重ねの丸いお弁当箱。

 お弁当箱を押さえつけていた太いゴムを取って蓋を開けると、上の段には彩り豊かなおかず、下の段には白米が広がっていた。


「ははは、麻子あさこ眠そうだよ? ‌せっかくの時間だぞー。休みは寝てばかりじゃ勿体ないぞー?」


 春香が忙しそうにお弁当を食べ始めた。

 玉子焼き、ご飯、唐揚げ、ご飯。

 おかずとご飯を交互に食べていく。

 私がお弁当を出す間に10口くらい食べ進めていた。


「私は、春香みたいに生き急いで無いの。休みはのんびり過ごすからこその休みでしょ?」


 春香は私の発言に、不服そうな顔をして箸を止めた。

「麻子、休みは好きなことをするためにあるんだよ? ‌私は麻子とをやりに来たんだよ。早く食べてやろう!」


 眉間に皺を寄せてそう言うと、その顔のまま勢いよく食べ始めた。

 箸のストロークがますます早くなった。

 けど、おかず、ごはんの食べる順番は変わらない。

 一口の量もおなじく少量。


 春香のそんな姿が面白い。

「春香って、ルールは守るよね。休んでる人多いのに今日もちゃんと学校来て」


 そう言うと、春香の眉間の皺が緩んだ。

「ルールは守ってこそのルールだよ。休み時間っていう限られた時間の中で遊ぶからこそ楽しいの! ‌麻子にも分かる時が来るよ」


 春香が急に大人に見えた。


 春香は律儀に手を合わせて「ご馳走様でした」とすると、食べ終わったお弁当を片付け始めた。


 すぐに片付ける終わると、ご機嫌なニコニコ顔を向けてきた。


「ほらやるよ? ‌起動して!」


 まだ昼休みは始まったばかり。

 春香過ごす昼休み。私も昼休みが好きだ。

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