第40話 信玄出現2

 「伸虎さんが、いやお父上から了解がいただけた。四天王のあんた達も問題ねえだろう、どうだい筆頭の伸方さん?」


 「我らは既に信幻さまの配下、如何ようにも信幻さまの御心のままに・・・・・」


 「おう、信茂、信圭、寛介、お前らはどうだい。なんか意見があったら言ってくれよ」


 「我らの想いは、常にお館さまの御心のままでございます」


 「よし、じゃあ後の細かいことは信茂が中心になって詰めてくれ。ただ今からオレは、猛陀信幻を『武田信玄』に改める。信茂は『武田信繁』、信圭は『武田信廉』、寛介は『武田勘助』に改める。良いな」


 「おう我らも武田姓に改めるのですね」


 「そうだ、これを機会に名前も改名し、この武田で天下を取るつもりだ。武田の忍びの衆もよろしく頼むぜ」


 「御意、お館さまの御心のままに・・・・・」


 まずは武田伸虎の長子として『武田信玄』、次男『武田信繁』、三男『武田信廉』が歴史上に出現。これでまずは歴史通りだ。


 本来、オレが学んだ歴史上では『武田伸虎』ではなく『武田信虎』だが、まあ、ここらへんは我慢しよう。


 さらには、この『甲非の国』も、今後は『甲斐の国』に改めよう。


 『武田勘助』は、本来信玄の軍師『山本勘助』であるが、山本源助、大林源助、大林勘助、山本勘助、晴幸、道安、道鬼斎、7度も改名しているから、まあこのままいこう。勘助本人も歴史ゲームで分かっているはずだ。


 とりあえず、我ら武田家はこれでとりあえず安泰だ。次はどうするか?オレが歴史を作るんだ。よく思い出さねえとな。


 もしかしたら勘助のヤツ、戦国時代の歴史にメチャ詳しいかもしれねぇな。となれば一度じっくり話してみるか。それに信繁と信廉にも話を通しとかねぇといけねぇな。なんせ兄弟だからな。


 あっという間に甲非の国、いや甲斐の国を武田信玄として制圧した風介であった。


 甲斐の国のでは、伸虎から長男の信玄に家督を譲って駿河の国に隠居されたと聞き、突然のことではあったが、住民からすれば君主が誰に変わろうが大したことではなく、表面上は目出度いことと祝われたのみである。


 甲斐武田を制圧してまだ3日目ではあるが、今日は信繁や信廉には内緒で、旧猛陀が陣を構えていた山奥の居所に、たった1人でのお散歩である。


 この場で兵を集め、住処を造り、陣を構え、猛陀軍を立ち上げた。今は懐かしいこの地もあっという間に取り壊され跡形もない。


 帰り際に山のふもとにある町をぶらりと流す。ちょうど腹が減ってきたので、久し振りにかって通っためし処に飛び込んだ。めしが旨かったことと、あの可愛い看板娘『お鈴ちゃん』を思い出したからだ。

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風介粋姿 希藤俊 @kitoh910

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