昔話(2)
それから10年の月日がたった頃。
俺は地球の高校に通えるようになった。波瑠、、母さんのおかげで。
「さっちゃん〜。もう起きなさいよぉ〜?」
この10年でどうも蕩けた喋り方になったがその分性格の尖った部分も次第に減っていったと思う。
「わかってるよ!ちょっとまって!」
今日は2人で遊びに行きたいらしい。
もちろん。俺に拒否権は無い。もし拒否しようものなら太陽系の星がひとつなくなるだろう。
みんな俺に感謝しろよ(泣)
「おそいわよ〜、おめかししてくるわけでもないんでしょ〜」
「まあ、そうだね」
俺は若干苦笑いで返す。
こんな感じで普通に親子やってるし、不自由はしないんだけど、問題が一つ。
俺の母さん、見た目が若すぎる。
おかしいんだよね、もうそろそろ三十路むかえるんだよね?なのに俺と並んでて
「すっごく美人の彼女、、羨ましいな」
って周りから言われる始末。
だから俺は控えめにファッションをしている。
そう。まさにお母さんに買ってもらったけどダサすぎて高校になったら着ないファッション。
これを着想するまでにどれだけかかったことか。
「行くわよぉ〜?」
「はーい母さん。荷物持つよ」
別にこれは優しさとかじゃない。目的は母さんの人体に負担をかけさせないためだけだし。
ちょっと感謝とかしてねぇし。
「そういえば誕生日のプレゼント渡してなかったよね母さん。これ」
「あら別にいいのに〜。ってこれ〜高いやつじゃないの〜?」
「そんなに高くないよ、気にしないで」
・・・はあ?別にほんとに高くねぇし?たった1週間分のバイト代だし?勘違いすんなよ!
「最近夜遅くまで働いてたのはこれが原因だったのね。」
「え?なんか言った母さん?」
「なにも無いわよ〜?ありがとねぇ〜?」
たまにこういう会話になる。おかしな人だなぁとは思いつつも嫌じゃないから何も言わない。
俺と母さんは2人でゲームセンターを目指しつつたわいない会話を弾ませる。
今のブームは格ゲーなのだ。
会話が一段落し少し静かになった車内でふと思い出す。
あれを言わなきゃいけないな。
「母さん、言わなきゃいけないことがあるんだ」
「どうしたの〜?改まって〜?」
正直ずっと悩んでいたし。母さんから聞いた話だとろくなもんじゃないらしい。でも!
「俺、やっぱり人機体有戦機の高校に行きたい。」
「いいわよ〜?」
「だよね、難しいよねさすがに、、、」
ん?今なんか聞こえたような?
「え?」
俺が戸惑っていると母さんは再度告げる。
「いいわよ〜?」
さすがに思考がフリーズする。
ゑ?いいのか?いいんですか?いいんですよねぇ!?
「だからいいわよって〜」
「ナチュラルに心読まないでよ母さん!」
怖い人だよほんとに!
そんなことよりっ!
「いいの本当に?」
もっと止められると思っていたし、そのための言い分なら考えてあったのに。
「確かに心配ではあるわねぇ〜」
「確かに息子が戦場に自ら戻ろうとするなんて心配だよね」
俺もそんな子供嫌だとは思いつつも曲げる気はない。ごめんなさい母さん。
「そんなこと言ってないわよ〜?心配なのはさっちゃんと競うみんなよ〜?」
「どういうこと?」
なんで俺の心配じゃないんだ?
「だってさっちゃん〜私が知る中で3番目につよいもの〜」
元最強からの太鼓判に少し照れつつも3番目に少し引っかかる。
「母さん、2番目ってもしかして、、」
「さあ〜着いたわよ〜?」
思いっきり遮られましたよね〜。
なんででしょうねぇ〜(泣)
まあいいや帰ったら聞いてみよう。
それから1日母さんに振り回されて無事車で就寝。
思い出してて今思い出しましたよ母さん。
Opposite.double 《be connected》 日陰 もの @sobakikurage
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