昔話(1)
俺はとにかく生きていたかった、生きて、何かを残したかった。
その頃は人間の本能かもしれない、漠然とした理由で生き延びていた。
あいつと会うまでは。
あいつ、波瑠華は文献を見ればわかるが最強である。
自分で言うのも恥ずかしいがその頃から《コード》の存在を知っていたし、使っていた俺は普通の有色機体には負けないほど強かった。
しかし結果はボコボコ。張り合うなんて夢のまた夢だ。
機体全身が軋み、体の自由が聞かなくなると、、、
「こ、、殺せよ!」
そういった。もはや助かる気はなかった。だがやつは笑いながら告げた。
「ハハハハ!何言ってんの?君みたいに強くて若い人間を殺すわけないじゃん?」
「強い?お前に手も足も出なかったのに?」
さらに高笑いが大きくなる。
「ハハハハハ!!面白いねぇ。この状態を見ても手も足も出なかったと?」
確かに少し擦れて傷ついていたり、かすり傷のようなものは見える、だがそれ以外は綺麗なままだ。
「お前はほとんど無傷だ。これが手も足も出なかったじゃないならなんなんだよ」
「いやだって、君私より10歳以上若いし?普通に殴られても全然耐えるし?どこが手も足も出ないのよ?」
初めは煽ってきただけだと思っていたが、九王は最後の言葉で俺を納得させる。
「私、この宇宙でさいきょうだから」
そういった彼女の声音は少し寂しそうに聞こえたのは俺の思い込みだったんだろうか?
「というか自己紹介がまだだったね?私は九王波瑠華って言うんだけど君名前は?」
「五月」
「そっか五月ね。じゃあさっちゃんだね!よろしくねさっちゃん」
これが・・・
俺の母さん。九王波瑠華との出会いだった。
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