将来の夢はパン屋さんです。

藤泉都理

将来の夢はパン屋さんです。




 お米で作られた長方形の厚みのある生地をこねこねこねこね。

 どんどんどんどん生地をやわらかくして色々なパンを作れるようにします。

 こねこねこねこね。

 こねこねこねこね。


 パン屋さん。

 おおっと、小さなお客さんが来ました。

 本日初めてのお客さんです。

 はい、いらっしゃいませ。

 生地をこねていたパン屋さんは、お客さんに何のパンを作りましょうかと言った。

 お客さんは、メロンパンをお願いしますと言った。

 はい。パン屋さんは元気よく返事をして、こねていた生地から一部をちぎりとって、それを両の手でまんまるの形にしてから木の板に置き、木の棒で模様をつけていきます。へこませないように気をつけながら、つけおわりました。

 パン屋さんは今から焼きに行きますとお客さんに言いました。

 お客さんが焼いているところを見たいですと言いましたので、パン屋さんはじゃあいっしょに行きましょうと言いました。

 そして、木の板に乗せたまま、外へと向かいます。


 みんながお絵かきや絵本よみ、積み木遊びをする部屋の中を通り過ぎて、開けっ放しだった窓を通り過ぎて外へと出て、お日様がいっとう当たるところでメロンパンを焼きます。

 五分もすれば、メロンパンはお日様の力をもらってふんわりしっとりと焼き上がります。

 けれどこれでできあがりではありません。

 パン屋さんとお客さんは元来た道を戻ってパン屋に戻ると、パン屋さんは絵の具の筆でメロンパンにメロンパンの色をつけていき、最後の仕上げに、パラパラと樹脂で作られた透明なキラキラをふりかければ完成です。


「お待たせしました」

「ありがとうございます」


 パン屋さんは茶色の紙袋にメロンパンを入れてからお客さんに渡しました。

 お客さんは受け取ると、さっそくメロンパンを出して、食べました。


「やっぱりできたては最高ですね。あたたかくて、サクッとしてふわっとしてしっとりして。すごく美味しいです。パン屋さんありがとう」

「ありがとうございます。またのおこしをお待ちしております」

「すみません、パン屋さん。クロワッサンを一個お願いします」

「はい。しょうしょうお待ちください」


 パン屋さんは大きなお客さんにそう言うと、急いでクロワッサンを作り始めました。


「あー俺も!俺も!俺、くまさんパン!」

「私も!私も!ねこさんパン!」

「僕はあんぱん!」

「コッペパン!」

「チョココロネ!」

「はい!しょうしょうおまちください!」






 ここは『さんさん幼稚園』。

 今日も幼稚園児は元気いっぱいです。






「大忙しね。らんちゃん。先生も手伝おうか?」

「はい!おねがいします!」






 こねこねこねこね。

 今はまだ本物のパンを作れてないけれど、将来は必ず、今のみんなのように、食べてくれた人を笑顔にするパンを作ります。











(2023.4.28)



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将来の夢はパン屋さんです。 藤泉都理 @fujitori

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