0-11 ゆるい日々の始まり(序章おしまい)


 ――こうして、なんだかんだで。

 私は、アサガオくんの助手として、バイトすることになった。


 はっきり言って、謎解きできる推理スキルなんてないけれど。

 アサガオくんが抱える【眠れなくなる謎】を解けるかどうか、正直自信はないけど。


 でも、私は胸を張ってアサガオくんに宣言する。



「まっかせてーー!!

 眠れない夜に、面白いミステリー小説をたくさん読んだから!」



 アサガオくんは、形のいい唇をモニョモニョさせて、「いるね……そういうひと……。グルメ漫画を読んで、料理ができる気分のひと……」などと小声でブツブツ言ってる。


 私はさらに、元気よく言葉を重ねる。




「ミステリードラマもたくさん観たよ!!!」 




       ◇



 こんな感じで、私たちの「謎や美味しいものが、あったりなかったりする」ゆるい日々が始まった。


 冗談めかして言ったけど、かなり本気で「謎を解く」つもり!

 自分なりにガチで推理してやるっ! 気合いは充分。


 だって私は――私の価値を、アサガオくんに向かって、証明し続けなければならない。


 これからもアサガオくんの【あの声】を定期的に摂取しないと、浴びないと、マトモに生きられない身体なのだから。


 うん、安眠や生活を、握られてるのはとても怖いよ。

 でも、怯えてても何も解決しないから。




 私は、私なりの価値を――自ら証明する。



 

 目指せ、持続可能な声的搾取。これが私の、生存、戦略~っ!!!

(かなり無理してテンション上げてる自覚はあるよ……)




       ◇



 でも、そんなふうに色々と考えてみても。

 私……小桜真夜が「本当のアサガオくん」を知るのは……さらにずっとずーーっと先のこと。

 


 たとえばね、私を熟睡させる【あの声】を――


使」なんて、思ってもみなかったんだ。






 そして

 アサガオくん。


 あなたは、すでに、私を――だましていたんですね。








(序章、終)








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読んでくださった方へ


「ワケあり不眠の女子高生…マヨさん」と

「特殊なお仕事の癒やし系(?)…アサガオくん」の2人を中心とした


『日常+非日常なミステリー』を予定しております。


ゆっくりのんびりなペースで更新予定です。

とても遅い進行となりますが、良かったらお付き合いくださいませ~。


★また、もちろん!SNSなどで知り合った、怪しい人に会うことを推奨するものではありません。お気をつけくださいませー。

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アサガオくんと、眠れなくなる謎 隙名こと @sukinakoto2016

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