no title

さとー。

no episode

これは私が初めて人間を綺麗だと思った話。


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いつもの学校

当たり障りない会話がこの教室を満たす


【ツマラナイ】


そんな日常に飽き飽きしてきた頃、転校生が来た


「は…はじめ…ま、して。かぶ…らき、さやです。よ…ろしく、おねがい、します」


どもりながら転校生は挨拶をした。

その直後、ひそひそと小さい声が教室内をみたした。


地味な見た目、挙動不審な動き。

その日、彼女に声をかけるものはいなかった。



翌日登校すると彼女の机だったものがそこにはあった。

机には無数の釘と『しね』『キモイ』など、悪口の書かれた机

これは、机と表現するのが間違ってるかのようにその形状を損なわれていた。


すぐ教師がやってきて机の交換作業を行っていた。

周りはクスクスと笑っていた。

私はというと、何の感情も乗らない顔でその様子を眺めていた。

一緒になって笑うこともなく、助けることもなく、

無機物を眺めるかのようにその光景を見ていた。


その一件を皮切りにいじめのレベルは次第に上がっていった。


初めは彼女に対して無視を行ったり、

私物や机など彼女の所有物などが犠牲になっていた。

それが、終いには校舎裏に呼び出されて何をされているのやら…

私には興味がなかった。


そんな日常を送っていた私に一通のメールが届いた。


『今晩屋上に来てください。いつまでも待ってます。』


迷惑メールか

そう思って、メールアドレスを見ると頭文字にS.Kの文字

転校生のイニシャルもSK…

『まさかね…』

そう虚空につぶやいてケータイを閉じた。


翌日以降も同じようにメールが届いた。

迷惑メール設定に入れても、フリーメールに変えて送られる。

そのメールアドレスはすべてSKの文字が入っていた。


もし、彼女だとして私に送ってくる理由は何だ。

恐怖から興味に代わるのにそう時間はかからなかった。


翌日、意を決して返信してみた。

『あなたは誰?私になんの用?』


すると5分もせずいつもとは少し違う文面が返ってきた。

『私は私。屋上に来てください。あなたを待っています。』


屋上に行かないと埒が明かないと思い、その日の夜屋上に向かった。


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「…お待たせ。」

私は後ろ姿の少女に声をかけた。


すると彼女は消え入りそうな声で

「待ってた…ずっと待ってた…」

そういいながら振り向いた。


やはり”かぶらきさや”だった。

毎日見ていたが今日の彼女は少しはかなげに見えた。


「なんで私にメールを送ってきたの?なんで私なの?」

そう彼女に問いかけると

「あなたは見ているだけだった!!物を見るような目でっ!!私は参加してませんみたいな目で!!」

続けて彼女は言った

「だからあなたも加害者側に引き込もうと思って」


そういいながらスカートをふわっとなびかせ、まるであどけない少女のように

まるで羽が生えているかのように軽やかな足取りでフェンスを飛び越えた。


私は足に根が張ったようにそこから一歩も動けなかった。

そんな私に対して彼女は屈託のない笑顔で

「さ よ な r」


最後の一文字を言い終わる前に宙を舞った

そしてすぐに鈍い音が下から響いてきた。


急いで屋上から下を見下ろした

その光景に私は目を奪われてしまった。


「綺麗…」


それはまるで地面に満開の桜を咲かせたみたいだった。



そこからはあっという間で、物音で駆け付けた警備員が現場に駆けつけて救急車と

警察を呼んだ。

私は学校に侵入しているのがバレて事情聴取をされた。


現場にいたことから疑われるかと思ったが彼女の部屋にあった遺書や指紋採取をして無罪放免となった。

逆に現場を見たことから、カウンセリングを受けたり友人に心配されたりした。


しかし、教室で【かぶらきさき】への弔いの言葉や嘆きの言葉は聞こえなかった

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no title さとー。 @mk19970620

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