元カレ、私より不幸であれ

暁きうり

第1話

元カレ、私より不幸であれ

夜桜の舞う公園も 夕日の沈んでいく海も

貴方と過ごしてしまった

そのせいで 同じ風景を見るたびに少しだけ 貴方が記憶から顔を出す

もう別れてから 随分長い時が過ぎたのに

貴方よりずっと 愛する人が既に隣にいるのに

ふとしたときに よぎる記憶が

一瞬で 気持ちがあのオリオンの輝く夜に戻る


貴方はきっと 私のことなんかすっかり忘れて

愛する人と 楽しい日々を過ごしているのでしょう

それが私にとって 靴に入った小石くらい

ちょっとムカつく

そんな些細な気持ちだけど

一緒にいた時は 貴方が全てだったけど

終わった気持ちはしっかり透明な壁をつくり

『青春』という額縁の中で動かない時を私に見せる

美しいだけじゃない その絵画は

苦い気持ちとともに 私の記憶


私のことなんか忘れて 流れていく時代に足掻いているのかな

築いた家族と かけがいのない時間を過ごしているかな

ほんの少し 粘着テープの角っこのギザギザくらいでいいから

私との記憶がたまに顔を出していたら

ざまあみろって 笑ってやるわ


幸せでいたらいいな なんて思えるほど

私はできた人間じゃない

ちょっと枕カバーの匂いが気になる位

買ったカップラーメンの蓋にかやくが張りついちゃう位


元カレ、私より不幸であれ







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元カレ、私より不幸であれ 暁きうり @mgumgugohan

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