最後に

 途中、涙で読めなくなっているところが何か所かあると思う。上から書けそうな場所は書き直したが、どうだっただろうか。気合で読んでくれ。私はそろそろ天国に着く。結局最後まで死因を思い出すことはなかったが、そっちの方が幸せなのかもしれない。あとはこの日記をエスカレーターの外に投げるだけだ。雲で隠れてしまって、下が地上なのか海なのか山なのかはわからないが、一か八かに賭ける。この日記の最後に私の家があった住所を書き記しておく。繰り返しになって申し訳ないが、家族のために、私のためにこの日記を届けてほしい。死んでしまった私にお礼なんてできないが、家族の笑顔を君へのお礼として、これを〆たいと思う。


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青年は日記に書かれた住所に向かった。しかし、そこにあったのはがれきの山。火事はすでに消されているようだった。青年はその場に佇んだまま、辺りを見渡す。この日記の持ち主は、大地震によってマンションが倒壊し下敷きになってしまったのだろう。そうなると、他の家族も……。青年は考えるのをやめた。合掌をしたあと、その場を立ち去ろうとしたとき、一人の女性に声をかけられる。

「あの」

 青年は驚いて一歩下がる。女性の横には大学生くらいの男性と、高校生くらいの女性がいた。話しかけてきた女性はそのまま話し続けた。

「その日記、主人の……」

 青年はその言葉でこの人が目当ての人であることが理解できた。もしかしたら、彼は地震が起きた後、全力で家族を守ったのかもしれない。

青年はこの日記について話し始めた。

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天国からの遺書 桜花 御心都 @o-kamikoto

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