06 Extra plus.

 自販機。

 任務終わり。

 財布をぶつけて、適当に2本買う。ふたりとも、開けずに持って、部屋に帰る。


「はぁ」


「つかれたね」


「さすがに眠りたいな」


 ふたりで部屋にへたり込みながら、飲み物を開ける。


「おわぁ」


 彼女がコーラだったらしい。派手に炭酸が吹き出している。


「おっ、と」


 自分のもコーラだった。彼女よりは抑え目の炭酸で、なんとか助かる。


「へへ。乾杯」


「乾杯」


 座ったまま、コーラを飲みほす。


「よし。ごはんだ」


「やったっ」


「おまえはシャワー浴びてこい。身体の半分ぐらいがコーラだぞ」


 彼女も、コーラでなんとか動く力が補充されたらしい。洗面室へ走っていく。

 とりあえず、料理。

 浴室の彼女の、音の気配が消えた。シャワー終了か。それにしては、こちらに来る気配がない。

 あらかた作り終えてから、洗面室に向かう。


 彼女。

 気持ちよさそうに、眠っている。なんとかコーラの服からは脱したらしい。シャワーあがり。パジャマ。


 リビングまで運搬。その間にも、指をなめている。この癖にも、もう慣れてしまった。

 毛布をかける。涙は。大丈夫。泣いていない。幸せそうにしている。そして指をなめている。


 もしかして。


 彼女の口に、さっき作った料理をすくって、近づけてみる。


「おっ」


 食べた。

 どうやら、指をなめるのと同じ要領らしい。もぐもぐしている。


「次」


「はいはい」


 寝ているのか起きているのか。彼女の口に料理を運び、その返しに自分でも料理を食いながら、なんとなく窓の外を眺める。

 海沿い。綺麗な景色が広がっていた。


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自販機とあま噛み 春嵐 @aiot3110

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