第13話 仲間が1体になった俺様はめげずに1からまた励む



「いやー!!俺ってやっぱり強いわ!!もしかしたらこの国で最強なんじゃないか!!ハハハ!」




勿論そんな事思ってはいない。上には上がいるのが世の常だ。それに俺のあの一撃を平然と超えてくる威力を出せるやつを知っているし、そいつがいなかったらタイラントドラゴンには全員が消し炭にされてただろう。




だけどこの状況は現実逃避したくなるだろ?




「こんなにキレイに更地になると気持ちいいな!!」



コロニーがあった場所はまっさらな何もない更地になっている。この場所で村や建物を建てるのには適した場所になった。



しかしその代償は大きい。体全身に激痛が走り、ちょっとやそっとじゃ動けそうにない。


五体満足なだけマシだが、数時間はこのまんまの状態でいなきゃならないな。



「‥‥また1からやり直しだな。」



「グキャアア。」



ホブゴブリン達にはスキルの宝玉も沢山使ってたのにホントにもったいない。


こうなるのなら俺だけで壊滅させれば良かったと思うがそれも後の祭りだ。



前にも同じようにギガントインパクトを発動した時はこんなに威力が出せなかったのに今回が小さな隕石が落ちたような威力だったのはミスリルの大剣が原因だろう。



ミスリルの大剣と言っても只のミスリルで出来ただけなら高価な装飾品のような扱いになるだけの代物だが戦闘に使用するためなら話は変わってくる。



そもそもがミスリルという鉱石には【魔力】が宿っている。


その魔力がスキルを発動した時には力を増幅させたり、通常ではダメージを受けないような相手、例えばレイスや幽霊のような実態のないモンスターにも攻撃が伝わるのだ。



そしてミスリルは密度があればあるほどその魔力も高く、そしてスキルを付与されてる場合が多い。



レッグスさんが言うには【再生】と【金剛】【帰還】というレアなスキルを付与することに成功したと嬉しそうにしていた。親父の照れた顔は少し………そこはみなまで言わないでおこう。


………それもミスリルという鉱石の特性らしいが、普通の武器には1つのスキルを付与できるようにするだけでも一流の鍛冶師が寝ずに1週間は頑張らなきゃいけないっていうのを聞いたことがある。スキルを3つというのは知ってる限り英雄クラスの者しか持っていなかったような気がする。



そんな武器を使ったら今までと比較してもそりゃあすんごい事になるのは目に見えてたな。






「俺の大剣には負けるだろうけど【如意斧】も相当良いものだな!!」






如意斧はゴブリンキングのクローンウエポンで、ゴブリンキングが相性良く強くなるスキルが【伸縮】と【膨縮】の他に1つは付いている。



【伸縮】自由に長さを変えられる。


【膨縮】自由に大きさを変えられる。



この2つのスキルは必ず付いてる筈でそしてもう1つは鑑定してみないと分からないが付いてて困るスキルではないのは確かだ。




他にも



ゴブリンなら【錆びた鋭利なナイフ】


ホブゴブリンなら【ホブゴブリンの骨棍】


エリートゴブリンは未発見


レッドキャップなら【ブラッディーマチェット】


ゴブリンロード未発見



ゴブリンキング【如意斧】




というようになっている。出来るなら俺がエリートゴブリンとゴブリンロードのクローンウエポンを最初に見つけたいが誰かしらはもう持ってても可笑しくない。


何故かエリートゴブリンとゴブリンロードは個体数が驚く程少ないのだ。


ホブゴブリンから進化するのは今までに何度も育てて来たゴブリンがどちらの個体にも至ってるので俺は珍しくはないが、この二体を見たことない人の方が多いんじゃないか?



まぁその二体のクローンウエポンを見つけても報告する義務はないし、自分の手の内を晒すような物好きは少ないだろうしな。



ただ報告するとそれに見合った報酬は貰えるので俺はキチンと報告するけどな。






「ギガン?それはお前にやるよ。大切にしろよ?」



「ギョア………ギョオオオアアア♪」




如意斧を持ってきてくれたギガンはまさか自分のになるとは思わず喜んでくれたようだ。






「そして申し訳ないんだけどさ?俺は動けないからこの辺りを探索してゴブリンを捕まえてきてくれないか?」



まだまだ俺は動けそうにない。自然回復のスキルのおかげで徐々に体は楽にはなってるが、ゴブリンもギガンだけになってしまった。



もう今回のようなコロニーはあまり出くわせないだろうけど、さっさと強い仲間を集めないとワイバーンの討伐も大変になる。




ギガンに頼んでゴブリンを捕まえてきて貰いテイムをしてゴブリンを増やしていく。体が動けるようになるまでに何とかホブゴブリンを3体作る程度は戦力を作ることに成功した。




「んー………もう夜も遅いし今日はここでテントはるか?」



異空間リングからテントを取り出し寝床の準備をする。



その頃にはもう空も暗くなっていたのでホブゴブリン達には薪を拾ってきて貰い大きめの火を灯す。新たに仲間になったホブゴブリン三体とギガンで焚き火を囲い異空間リングに入れていた肉を焼き始め皆で夜ご飯を共にした。





「いやー今日は良い物みつけたなぁ?」



「グギャア♪」



ギガン用に取り出した肉は当分賄えると思っていた10キロの肉を木をギガンの大きさにちょうど良い太さにした串に刺してある。

その串に刺さった肉を美味しそうに食べるギガンを見てると昔の仲間だったゴブリン達を思いだし少し寂しくなってしまった。




「お前達も明日から宜しくな?」



「「ギョア!!」」



ホブゴブリン達も美味しそうに食べてて心なしか心が軽くなった気がした。



今までにも何体も仲間のゴブリン達がいなくなると心に針を刺したような穴が空いた気分になるのはもう慣れたものだ。




だけど出来る限りは死なせたくない。






「お前らはいなくならないでくれよ?」










また長い時間育てるのもめんどくさいしな。















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ゴブリンしかテイム出来ないけど俺様には丁度良い ウメとモモ @umeotomomo

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