Q3 「囲碁で石を打っても陣地が増えない場所」を語源とする、無駄なこと・価値がないことを意味する言葉は何? 6
◆◆
マイカが目を覚ました時、彼女の両腕は手錠で拘束され、大好きな服は血と肉でぐちゃぐちゃになっていた。
(あれ、私、なんで……)
覚えているのは、怖い目つきの乾が襲ってきて、かんたんに手錠をかけられてしまったこと。そしてその後すぐ、正解の音がして、乾の頭が……。
「お、ええっ」
その時の光景を思い出して、マイカは思わず吐き気を覚える。だが、胃の中に何もないのか、吐くことすらできなかった。
「汚いなあ、やめてくれよ」
男の声が聞こえて、マイカは初めて、ここがどこかわからないことに気がついた。もちろん、男が誰なのかもわからない。
「だっ、誰っ、ここどこっ」
「誰って……ああ、暗くて見えない?」
とんとん、とスマホをタップする音とともに、強い光。真っ暗な部屋の中で、懐中電灯代わりにフラッシュを起動したようだ。光に照らされ、持ち主の顔も見える。
「あなたは……禅寺、だっけ」
「そう。禅寺ゼンジロウ。まあ、覚えてなくてもいいよ!俺は今すごくハッピーだからね」
禅寺は楽しげな様子で、個室のドアごしに外を見ていた。ここは彼の個室のようだ。マイカに与えられたものと同じ間取りに見える。
「私、なんでここに?助けてくれたの?」
「そんなわけないじゃん。なんで俺が助けなきゃいけないの?むしろ逆だよ。助けるなんてありえない」
マイカの質問に、禅寺の態度が変わる。いらついた声でマイカの体を蹴り飛ばす。
「せっかくのデスゲーム、せっかく人が死ぬのが間近で見られるっていうのにさあ!なんなのあの警察のやつら。時間稼ぎして誰も死なないように?ふざけんなって話だよ」
「あ、あなた、何言って……」
「あいつらさえいなければ、ただクイズやってるだけで、間近で頭が爆裂死するのを何度も見れたのにさあ……ま、あのデブはともかく、ハーフのイケメンをヤったのは爽快だったなあ」
スマホの明かりに反射する禅寺の目は、明らかに正気ではなかった。
「俺が見たいのはデスゲームなんだよ。ヌルいこと言い出したやつらが悪い。俺がちゃんとしたデスゲームに戻してやったんだ。死体を作って、疑いを煽って……で、今やつらは暴力を振るいまくって、なぜか仲間が死んで混乱してる。いい気味だ。だから俺はハッピーなわけ」
つまり、二荒山リリを殺したのも、乾と半蔵を殺したのも……。
「そ、そうだ!おかしい!乾さんが言ってた、禅寺は半蔵さんと相打ちに……」
「あっは!ウケるよね!あいつらエリートぶってんのに、あんな単純なトリックにひっかかってんの!顔がブっつぶれた死体に俺の服着せたら、まんまと俺が死んだと思いこんで……まあ、ここには検死できる装備も余裕もないもんな!うーん、めっちゃハッピー!思った通りにハマってくれて最高!」
禅寺はふたたび楽しそうに、ケラケラと笑った。マイカは追いつかない頭で考える。
「で、でも顔が潰れた死体なんて……」
死体のすり替えトリック自体はよくある話、彼が言った通り単純なトリックだ。だが、ここにはすり替えられる死体がない。デスペナルティで頭部が破裂した死体は、みんな知らない間にどこかに消えてしまうシステムなのだから。
「いやいや、いくらでもあるよ、死体なんて」
禅寺はそのまま立ち上がり、壁際に歩いていって……照明をつける。
白い光に照らされて、初めて部屋全体の様子が見える。
乱雑に積み重ねられた、15個の頭のない死体。今まで死んだ参加者のものだ。禅寺は、いままでそれに座っていたのだ。
「……な、にこれ」
あまりに異様な光景に、マイカは叫ぶことすらできない。
「なにって。お前ら、死体が勝手に消えてるとおもってたの?そんなテレビゲームみたいなことあるわけないじゃん。俺が全部回収してたんだよ。だって、もったいないじゃん?」
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