Q3 「囲碁で石を打っても陣地が増えない場所」を語源とする、無駄なこと・価値がないことを意味する言葉は何?

Q3 「囲碁で石を打っても陣地が増えない場所」を語源とする、無駄なこと・価値がないことを意味する言葉は何? 1

◆◆


 東京、警視庁。会議室の一つに、とある部署のメンバーが集められていた。

「平川サン、まだくたばってなかったんですね」

「フン、相変わらず口の聞き方がなってないな」

「半蔵さん平川さん、お久しぶりっすー!あ、乾さんも!」

「……うん」

 半蔵モンヂ、平川ホウゾウ、桔梗ユカリ、乾イヴァン。年齢も性別も様々な4人の前に、彼らのリーダーがやってくる。4人はそろって敬礼した。

「楽にしてかまいません」

 リーダーは敬礼を返してから、部下たちに告げる。パンツスーツの女。長身にヒールも履いているので、巨漢の半蔵と同じぐらいの身長に見える。

「今回の件、何か聞いている方はいますか」

「何も。まあ、ウチらが呼ばれたってことは、まともな事件じゃないんっすよね?」

 リーダー……大門サクラの問いかけに、桔梗が答え、他の3人も同様に首を振った。

「では、簡潔に。今回の我々の任務は、『デスゲームへの参加と、参加者の保護』です」

「はぁ?ボス、マジでいってんの?」

「……サクラがマジじゃなかったこと、ある?」

 疑いの声をあげる半蔵に、乾が短く反論した。

「続けます。現在、名古屋、大阪、札幌などの都心部を中心に、突然人が消える事件が立て続けに起こっています。そして先日、初めて警察関係者……M市の交番に勤務する巡査が被害にあいました。大規模な捜索が行われる中、無線機から届いた通信の内容が、これです」

 サクラは話しながらラップトップを広げ、音声ファイルを再生した。


『や、やっと繋がった!こちら野田です!今、どこかわからない場所に急に連れてこられ……負けたら死ぬゲームをやらされています!ふざけていません、信じてください!オラクルとかいうわけのわからないヤツに言われて、他の20人ぐらいの人と……もう8人は死んでしまいました。今は脱出の方法を探していますが、ゲームを抜け出しているのでいつまで持つか……今までの行方不明者も、おそらくこの(悲鳴や怒号が聞こえる)ああ、また1人殺されたのか……!ともかく、悪意のある意味のわからない何かに拉致されているんです!あとは……そうだ、やらされてるのは、早押しクイズです。クイズで負けた人から殺されています……助けてっ、助けてください!俺はこんなところで誰かを殺したくもないし、死にたくも(何かが弾けるような音が聞こえる)』


 音声の再生が終わると、会議室に沈黙が流れる。


「……調査の結果、野田巡査が勤務中に行方不明になったのと同時刻に、M市の同じ地域から他に25人の行方不明者が出ていました。また、無線の送信元の場所は貯水池の中で、26人の人間を収容できる空間はなかったそうです」


「つまり、何か?」

 平川が頭をかきながら、苦々しげに言った。

「そのオラクルとかいう宇宙人か何かが、人間を謎の空間に拉致して早押しクイズをやらせ、負けたやつから殺している……ってことか?」

「相違ありません。宇宙人かどうかは、これから我々が探るべきことの一つです」

 サクラは資料を全員に配り始め、受け取った者から会議室を後にしはじめた。

「まったく……またワケのわからねえことに……許せねえな、ヒトをオモチャかなんかだと」

「平川さん、今回は宇宙人じゃないかもしれないんですって。野良の超能力者か、上位存在のイタズラかも」

「……そっちのパターンも、大変」

「ウチは無線の発信源と拉致されている地域の分析から手をつければいいっすか?3年前の京都連続神隠し事件が参考になるかな……」

「パソコンごとは桔梗ちゃんのほうでやってくれ、俺は現場をあたる。半蔵、ついてこい」

「えー、ここ駅からクソ遠い……歩きはゴメンですよ」

 会議室には、乾とサクラだけが残った。

「……僕は、どうすればいい」

「あなたはだけは私の指示を待ってくれるんですね、イヴァン」

 乾には、サクラが苦笑したように見えた。他の者が見ても、そのわずかな変化はわからないだろう。

「ついてきてください。『オラクル』という謎の存在について、調べます。いかなる超常の存在にも、国民を好きにさせるわけにはいきません。それが我々の使命です」


 旧神祇省の流れを汲み、警視庁の中に極秘に存在する、常識を超え法を逸脱する事件を担当する警察官たち。それが彼ら、大門班の正体だった。


◆◆

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る