Q2 漫画家、桜井のりおの作品で、三つ子の『みつば』『ふたば』『ひとは』を主人公とするギャグマンガは何? 11

 Qの指導したクイズの解き方で有利になった飯島・宮本チームに、半蔵・平川チームは(おそらく)『フィフティ・フィフティ』で4択問題を連取。状況を覆し優位になったが、展開は再度覆った。あらゆる問題を2択にできる『フィフティ・フィフティ』も、『イレイズ』で選択肢自体を消されると、うまく働かないようだ。これで、4-4。


 しかし、僕の視界の隅で、Qはいつになく険しい顔をしている。自分の周囲の人間が勝ちそうなのに、なぜ?

 

【問題。4択問題です】


選択肢は、①徳川■〇 ②徳川■△ ③徳川△◆ ④徳川◆〇 


 異様な表示に会場がどよめく。

「はぁ?!みんな苗字おんなじじゃねえか!」

 ミラが叫んだ。

「いや、将軍の名前だからそこは同じになるんでしょうけど……」

 マイカが突っ込みを入れるが、そういう問題ではない。

「いや、それよりも」

 僕は思わず口走る。答えは③なのだが、こんなの。

「こんなの、答えようがないんじゃないか……?」

 今までたくさんのクイズをやってきたが、答えようのない問題というのは出題されなかった。『イレイズ』の影響を受けてもなお、先ほどの問題は解けるようになっていた。だとすると、一見回答不能に見えるこれも……?

 

【次の4人の将軍のうち、生類】


 そこまで問題が読まれたとき、Qが「なるほど」とつぶやいたのが聞こえた。

 そして、ほぼ同時に、

 

 ピコーン!

 

 ボタンが押される音。押したのは、またも宮本だった。

 

「徳川綱吉」

【何番?】

「……③」


 正解だ。


「すごいすごい!やるじゃないか宮本さん!いやぁびっくりだよ!」


 Qが飛び上がって大喜びしているが、他の参加者たちは皆、状況に思考が追いついていないようだ。僕もそうだ。

 

「なんにもすごかねえよ!コイツが『イレイズ』の本体ってだけだろ!」

 半蔵が口から唾をとばしながら叫ぶ。能力指摘しようと指さしたところで、

「待て、半蔵」

 平川がそれを止めた。

「この問題、俺らが頭で負けただけだ。さっきみてえに、解けるようにできてる」

「マジかよ、平川サン」

「……さっきの問題で、〇がなんでも文字が入るのはわかってた。だったらわざわざ記号を分けてる■◆△には共通の文字が入ると考えるのが自然。すると、③が『家でなく、他の将軍の名前に使われている文字だけで構成される』とわかる。徳川将軍の名前の中でこの条件を満たすのは、②の家綱と④の吉宗の『綱』と『吉』を使っている『綱吉』だけだ」

 平川がしゃがれた声で述べるのを、会場全員が聞き入っていた。

 

「あのお嬢さん、おそろしく頭がきれる。次も同じように隠されたら、勝ち目がねえな」

「そう!そうなんだよー!いやあすごいね!逸材だ!」

「い、いえ、そんな……」


 宮本は、平川とQに褒められ、少し照れているようだった。

「ッチ、しょうがねえな……これを取りゃあ延長戦だ。いつまで続けられるか試してやるよ」

 半蔵がボタンに手を置く。

 

【最終問題です。問題。4択問題です】


 最後まで4択が続く。選択肢が公開された。

 

①〇 ②× ③△ ④□


「最後まで『イレイズ』がかかってんのか。こりゃQのチームの勝ちだな」

 ミラが僕の隣でつぶやく。

 僕は「あれ?」と声を出しそうになって、すんでの所でやめた。

 

 これは、おかしい。なぜなら、答えは②の×だからだ。

 そして、そのことに気が付いてしまえば『アンサー』であることがバレる。

 

「『能力指摘』だ」


 太った人間独特の、くぐもった声が聞こえた。



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