Q2 漫画家、桜井のりおの作品で、三つ子の『みつば』『ふたば』『ひとは』を主人公とするギャグマンガは何? 8


「えーっ、ボクじゃないの?せっかくなんだしやらせてよ!」

 

 子どものように頬を膨らませるQ。ラウンド10は、半蔵モンヂ・平川ホウゾウ組対飯島イサム・宮本ミヤコ組となった。

「ケッ、デスゲームやりたがるとか頭イってんだろ」

「半蔵、口を慎め」

「ッチ……あーッス……」

 半蔵モンヂは先程Qに食って掛かっていた太った男性。サスペンダーが悲鳴をあげるほどの巨漢だ。隣の平川ホウゾウは、初老から老人といった白髪の多い男性で、半蔵と並ぶと余計に小柄に見える。知り合い同士で、平川のほうが立場が上のようだ。

 もう一方のチーム、飯島イサムと宮本ミヤコは、

「Qさん、マジパネっす!これでオッサンどもバチボコっすよ!」

「わたくし、うまくできますかどうか……」

 飯島イサムは派手な格好の青年で、渋谷とかにいそうな雰囲気だ。宮本ミヤコは上品なおばさんといった感じで、こちらも外見は正反対な組み合わせだ。この2人は、以前のラウンドから須藤ヤスミとともにQの周りにいたグループだ。

「ま、飯島さんと宮本さんが解いてくれるから、それをボクが解説するんでもいいかな……クイズやりたかったんだけど」

「まかしてくださいよQさん!ぶっちゃけこれ知ってたら負けねーんで!」

「そうね、せっかく教えていただいたんですから」

 彼らもQからクイズのコツを聞いているようだ。つまり、Qチーム対半蔵・平川ということになる。


 向かい合った席には解答者4人。周囲には僕らを含め9人の参加者がいる。先程まであそこにいたのは僕らで、向かいに座っていた2人はもういない。

「……わかんねえよな」

 僕の隣でミラがつぶやく。

「なんでQは、自分でクイズの解説なんかするんだろ」

「『アンサー』を本気であぶり出そうとしてるんじゃないですかね……」

 Qがクイズで負けるとすれば、相手は『アンサー』しかない(つまり僕だ)。クイズの定石を他の参加者たちの共通認識にすれば、『アンサー』のミスを見つけ出しやすくなる。

「案外、マジでみんなでクイズをやりたいだけだったりしてな」

「そうなんだよ」

「うわっ!?」

 Qが急に割り込んできて、僕らはのけぞった。

「さっきのラウンドでさあ、Aくんたちだけスゴい試合してたじゃん?延長戦もあって2人だけたくさん解いてるし。他の人と実力差があると不公平だと思ってさ」

「……本当にそれだけなのか?」

 僕はQに疑いの目を向けるが、Qは全く意に介さないようだ。

「本当だよ!クイズ王なんだよボク。三度の飯よりクイズが大好きなんだ。まあここにきてからお腹減らないんだけどね」

「それだけにしては、Aさんに絡んでないですか?」

「それは、Aくんが一番クイズがデキそうだからだよ。ライバルってやつ?ラウンド9でポカしかしてなかったキミと違ってね」

「ぐっ……」

 マイカはそれきり何も言い返せなくなってしまった。


【問題。】


「あ、始まっちゃうじゃん。解説してあげないと」


【日本で一番高い山は富士山ですが、に】


 ピコーン!

 押したのは宮本だ。隣では飯島が目を見張っている。


「なぜここで答えがわかるのか?それはこの問題もパターンがあるからなんだねえ。を挟む問題は、パラレル問題といって、必ず前後が対応するようになってるんだ。今回だと対応する可能性があるのは『世界で一番高い山は?』とか、『一番低い山は?』とかもあるけど、今回は【ですが、に】と来たから【2番めに高い山は?】とくるわけだね。何と何が対応しているかわかれば、最後まで聞かなくても押せるってわけだ。じゃ、宮本さん、答えをどうぞ!」

 Qが早口でまくしたてた後、宮本はゆっくりと答える。


「……北岳、です」


 正解音。

「おおっ!お見事!拍手!」

 わざとらしく拍手をするQ。参加者のうち何人かが、つられて手を叩いてしまう。Qは場の空気を掌握しつつあった。


「さ、次の問題いこう!今度はどんなのかな?ワクワクするね!」

 

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