Q2 漫画家、桜井のりおの作品で、三つ子の『みつば』『ふたば』『ひとは』を主人公とするギャグマンガは何? 3
【問題。にんじんや大根を縦に半分に切るのは】
正解は「いちょう切り」だ。でも、記憶が正しければそれは、
【半月切りですが、よ】
僕はボタンを押した。ランプが点灯する。相手チームも同じぐらいのタイミングで押したようだ。僕は安心して答えを出す。
「いちょう切り」
正解。現在8問目で、これで5対3になった。リードはあるが、それでも油断はできない。桔梗と須藤のチームは、通常の問題でも相当な早押しをする。だから僕が『アンサー』で早押ししても即座に異常さがバレることはないのだが……なぜそこまで自信満々に押せるのか、その答え、つまり桔梗と須藤の『異能力』にはまだたどり着いていないのだ。それが不気味だ。僕は『アンサー』を使わされているのかもしれない。
「Aさん、知ってたんですか?」
マイカが聞いてきた。リードができたので、少し落ち着いているようだ。
「うん、家庭科かなにかでやったかな」
もとから知っていたので、嘘はついていない。
「うう、真面目に授業受けとけばよかった……でも、『ですが』ってズルくないですか?あんなのなんでもアリじゃないですか」
マイカの言葉に、僕は一瞬「たしかに」と思った。【日本で一番高い山は富士山ですが、6の10乗は?】という問題も、作ろうと思えば作れそうだ。でもそれでは、「ですが」の前に意味がない。
「ですが、の前と後は対応してなきゃいけない、っていうクイズの約束事なのかもしれない。いままでなんとなくやってきたけど、これはQの技術を解明する手がかりになるかも」
Qは須藤にクイズのコツを教えたと言っていた。彼女の押し方から、なにかわかるかもしれない。
【問題。ズームアウトクイズです。これは誰の作品?】
再び空間に画像が浮かび上がる。今度は黄色一色の画像だ。
【では、スタート】
さすがにこれでは相手チームもわからないのか、1問目のように即回答はできないようだが……。
答えは「ゴッホ」なのだが、どこで押すか。
画面が引いていく。まだ黄色以外見えない。
ピコーン!
「うそっ?!」
マイカが声をあげた。まだ画面には、黄色一色以外には、ごく一部、何かの線ぐらいしか写っていない。こんな状況でわかるのか?
「……ゴッホ」
須藤が答え、正解した。他の参加者の間にも、ざわめきが広がる。画像のズームアウトが進み、ゴッホの『ひまわり』の全景が映された。
これで、5-4だ。最終問題を取れば、僕たちの勝ちだ。相手の能力はわからないままだったが、このままいけば……。
【最終問題です。問題】
【テレビゲーム『ポケットモンスター』シリーズで、全国図鑑番号1番のポケモンは】
ピコーン!
回答席のライトが灯る。押したのは僕ではない。マイカだ。
「やった、最後に私も押せました!」
最後の問題も、両チームほとんど同時にボタンを押していたが、マイカのほうがわずかに早かった。詳しい分野だったからかもしれない。
【回答をどうぞ】
アナウンスに促され、マイカはうれしそうに答えた。
「図鑑番号001番は、フシギダネ!」
「なっ!?」
僕は思わず声をあげる。それは違う。
ブブーッ!不正解の音だ。
「なんでぇ?!」
マイカの表情が一転する。
「図鑑番号1番はフシギダネでしょ!誰だって知ってる!なんで不正解なの?!」
【テレビゲーム『ポケットモンスター』シリーズで、全国図鑑番号1番のポケモンはフシギダネですが、1000番のポケモンは何? 正解は、「サーフゴー」】
『ですが』問題。1と1000で対応している。「お約束」通りだ。
「う、うそ、そんな……やっちゃった、私……」
マイカはがっくりと膝をつく。これで4-4。同点だ。相手チームも押していたのだから、押して正解された場合と同点なのは変わらないのだから、そこまで落ち込むことはない……のだが、落ち込みようを見ると声をかけられる状態ではない。
一方の相手チーム、桔梗と須藤は一安心しているようだった。緊張が解け、顔に笑みが戻っている。
「ふー、間一髪でしたね。ミスに救われたっす」
「そうね、もし押せてたら私のほうが……」
須藤がこちらの視線に気が付いて、あわてて言葉を切った。なんだ?今の反応は?
【全問終了、得点は芦田・汀チーム4点、桔梗・須藤チーム4点で引き分け。よって】
まあ、同点なら死者は出ない。人を殺さなくてよかったと思えば、
【これよりラウンド9延長戦に入ります。相手チームより2問多く正解した時点で、そのチームの勝ちとなります】
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