Q2 漫画家、桜井のりおの作品で、三つ子の『みつば』『ふたば』『ひとは』を主人公とするギャグマンガは何? 2

「え、え、Aさぁん……私っ、ぜったい足ひっぱっちゃう……」

 いつの間にか2対2仕様に向き合って配置された解答席。マイカの涙は止まっていたが、まだ涙声のままだった。

「まずは落ち着いて……マイカも、わかったら遠慮なく押して。それで間違えても、足を引っ張ったとは思わないから」

「で、でもぉ、私のせいでAさんまで、し、死ぬことになったら……」

「心配はわかる。だけど、僕だけがクイズをやって結果負けたら、僕は君を殺したことになる。だから、2人でやれるだけがんばろう」

「う、ううう~~っ」


 僕の言葉がマイカに伝わったかはわからない。だが、クイズは容赦なく始まる。


【ラウンド9を開始します】


「須藤さん、がんばってねー!」

 外野からQの声がした。

「大丈夫、桔梗さんと協力すれば勝てるよ!チームワーク、チームワーク!」

 スポーツの応援でもしているような、呑気な呼びかけだ。須藤のほうは、彼の言葉に力強くうなずいていた。先程の時間で、なにか入れ知恵をしたのだろうか?


「ね、Aくんだっけ」

 僕の視線に気がついたのか、もう一人の対戦相手、桔梗ユカリが、対面から僕に声をかけてきた。

「ウチも死ぬわけにはいかないんで。全力でやるけど、恨みっこナシっすよ」

「……はい」

 自分で言うのもなんだが、妙に冷静な……あるいは、覚悟の決まった様子だった。


【問題。4ヒントクイズです。10秒ごとに1つずつ表示されていく画像から、連想される都道府県を答えてください】


 僕らの間の空間に大きな画像が表示された。4分割され、1から4の数字が振られている。今はまだ数字以外何もないが、これが一つずつオープンされていくらしい。

 答えは「北海道」だが、最初から時計塔や雪まつりの画像が出てくるわけはないだろう。


【それでは、スタート】


 「1」と書かれた部分の画像が変わり、何かの祭りのような、


 ピコーン!


「北海道っす。これはイオマンテ、アイヌの儀式っすよ」


 正解音。押したのは、相手チームだった。桔梗が得意げに答えている。


「え、ええっ!?速すぎですよぉ!」

「すごいな、全然わからなかった……」

 これは本当だ。僕は答えしかわかっていなかった。画像がなんなのかも全くわからず、押して良いかの判断もできなかった。

「あ、あはは……なんでみんな、そんなにクイズ得意なんですかぁ?」

 マイカはもう泣き笑いだ。確かに、クイズが得意、たまたま知っていたという可能性もある。だが、これはただのクイズではない。

「……もう『異能力』を使っていると考えた方がいい」

「そっか!じゃああれ!あのOLがきっと『アンサー』なんですよ!」

 騒ぎ立てるマイカを落ち着けようと、僕はできるだけ優しく反論しようとする。

「えっと、それは……」

「あー、ないない!ありえないから!それは!」

 Qの声だ。僕らに聞こえるように、Qは大声で喋り続ける。


「須藤さんは『アンサー』じゃないよ。キミらはともかく、すぐとなりに他の参加者がいて……しかも自分が『アンサー』で勝ったらその人は生き残るんだよ?バレる危険が高すぎるでしょ!ちょっと考えればわかるよね?」

 Qはマイカを嘲笑い、そしてそのまま僕のことを指さした。

「A、ボクはキミを買ってるんだ。さっきのラウンドでは楽しませてくれたからね……だから、こんなところで負けないでよ?」

 相変わらず楽しそうな表情だ。嫌な男に目をつけられてしまった。

「ま、漫画のライバルキャラみたいなこと言ってる……この展開、助けてくれるとか……」

「須藤さんにはボクから、クイズのコツを教えてあるし、能力の使い方も教えてあげたけど、キミなら勝てるよね?」

「うわぁ!戦闘狂キャラのほうだ!」

 マイカに少しずついつもの調子が戻ってきたようだ。Qの言い方はムカつくが、それは少し安心した。

 クイズは画像の開示が終わってから次の問題となるようで、今ようやく4枚目の画像が見えた。札幌の時計台だ。

 僕はそのまま、横目で能力表を見る。あんな芸当ができるのは、『アンサー』ぐらいしかないように見える。そして、まだ見えていない下位の能力を含めて、「クイズに正解する」という結果を直接導くものはないだろう。(『フィフティ・フィフティ』で当てずっぽうをやるぐらいか?)

 すると、考えられる可能性は。

「未知の『異能力』の相互作用コンボか……」


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