雨と幸福

雨と幸福

乾いた世界に

音を立てて

雨が降り出した午後

私は窓辺でひとり

激しい音色に酔いしる

空を見上げると

暗黒の空に広がる

たゆたう雲が

琴線に触れ

訳もわからず

涙が頬を伝い

不思議な幸福感が

胸に広がっていく

雨男と言われる彼は

突然風邪を引いたと笑う

私は雨に感謝して

濡れた彼を脳裏に描く

電話越しに響く

彼の笑い声

けれど何となく伝わる

彼の苦しみ

ふと視線を移すと

傘が私に訴えかけてくる

私を微かに濡らす

冷たい雨は

あたたかい

気持ちを感じさせる

降りしきる雨音は

私の孤独を包み込んで

心地よい音色にまどろみ

幸福感にひたる

今日の雨は

心を潤いで満たしていく

濡れた道

跳ね返る水は

鬱陶しいけれど

雨に濡れる幸福は

心の奥に咲きほこり

ありふれた景色を

鮮やかに彩り

そして

世界を潤していく