第6話 天使のお仕事 守るモノ

「そんで、こっからどうするんだ?」

俺はサエルによって助けられて、天使になった。だが、これからどうしたらいいのか、何をしたらいいのか分からない。

「とりあえず、他の仕事を見てみましょう。その中にあなたが気にいる仕事があるかもしれません。」

「また殺されたりしないだろうな?」

同じ天使だろうとタブーを犯すものは殺す。天界は思った以上に恐ろしい場所だったのだ。

「心配いりません。天界でのタブーは主に3つです。1つ、昔の名前を消せ。2つ、仕事を除き天界以外の場所に干渉しない。3つ、別の世界のものに特別な感情を抱かない。これさえ守れば殺されはしません。」

ふむ、名前はもう大丈夫だけど、残りの2つは油断できないな。今後心を読んでくる天使と会うかもしれないから、気をつけないとな。

「了解、それじゃあ他の仕事を見せてくれ。」

「分かりました。それじゃあ次は、ファンタジー系の仕事を見てみましょう。」



「ここは?」

ついてみるとそこは、何もない場所だった。あるのは二つの球体のみ。

「ここは、天界から他の世界を見て、均衡が崩れる要因が現れたら事前に排除するための場所です。」

2つの球の1つは何度も見たことがある球体だった。

「おい、これは地球じゃないか?もう一つは、こんな場所見たことがないな、何処だこれは。」

前見た導くモノといい、やはり天界は地球を覗いていたのか。だから、俺を死ぬ前から見れていたということか。

「そうです。1つは地球、もう1つは、惑星ザナク。貴方にわかりやすく言うと異世界です。」

「異世界?剣とか魔法とかが使えるあのタイプの場所か?」

「まさしくそうです。地球の方は私達は見るだけで、ほとんど干渉しなくていいのですが、こちらのザナクは地球と比較できないくらいに治安が悪く、私たちも手を焼いてる所です。」

「それで、守るモノは具体的にどんな仕事をするんだ?今の所2つの世界を見てるだけじゃないか。」

「はい、基本は見るだけです。地球に関してはほとんど見るだけでいいのですが、たまに世界を壊しかねない兵器が誕生するのでそれを阻止したり、自然を破壊しすぎた場所に髪に変わって天罰を与えています。」

どうやら、俺たちが平和に生きれているのは天界が何かしらの手を加えていたらしい。そして、たまに起こる災害は神の裁きといったところか。

「問題はザナクの方です。ザナクにはさまざまな種族が共存しているのですが、魔族と言われる種族は他の種族を根絶やしにして、魔族にとっての理想の世界を作ろうとしています。」

「その世界に勇者とかはいないのか?それでこそ転生者とかが勇者になるとかよくある話だろ。」

「そんなに異世界は甘くないんですよ。そもそも死者を記憶を保ったまま別の世界に召喚する行為は均衡を崩すので、天界が禁止しています。ザナクは何回も勇者召喚を行っていますが、全て失敗させています。」

「そんな事してたらザナクは魔族の国になってしまうんじゃないか?」

「だからこその守るモノです。ここに所属している天使は、天界の中でも武に優れたものが多くいます。ザナクで一般人に紛れて、世界を守っているのです。」

つまり、ここは戦うことが多くなるのか、地球の方は楽だから是非ここで働きたいが、にぶいちで地獄行きか…

「ここは、極度の暇か、働き続ける地獄かどっちかだな。ここで働くくらいなら俺は、導くモノがいいな。」

あと話し相手もいなさそうなのがきつい。誰もいないし、薄暗いし、なんか気が滅入りそうだ。

「やっぱそうですよね‼︎私もそう思います。さ、こんな場所いたらどんどん暗くなっちゃいますよ、次の場所に行き」

「あっれー?サエルじゃーん、こんな所に男連れて何してんのー?もしかして邪魔しちゃった?」

暗闇から1人の天使が出てきた、その天使を一言で言うなら、チャラ男だった。

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