第4話 天使のお仕事 導くモノ
こうして天使の仕事を見る事になった大河だがまずサエルが案内したのは自分の仕事場だった。
「ここでは、現世から登ってくる魂を管理、処理を行っています。」
周りを見るとざっと見て天使は100人くらい、各々何かを書いたり、よくわからない機械のようなものを除いたりしている。
「なぁ、あの覗いてる物はなんだ?」
「あれは地球の道具で言うところの双眼鏡ですね、天界から現世を見る際、天使によっては道具を使わないと見る事が出来ないのです。」
「お前は道具なしに見れるのか?」
「もちろんです。これでも私はこの部署のリーダーですよ?地球以外の世界も見るんですから、楽勝です」
威張るようなポーズでドヤ顔を決めるサエル
最初会った時は真面目なザ天使だったのに、子供っぽいところもあるようだ。
「そりゃすごいな。」
「あれ?サエルさん来てたんですね。」
後ろから知らない声がした。振り返ると低身長の可愛らしい子供がいた。
「む?今僕の事子供扱いしましたね?やれやれ、これだから見た目だけで判断するやつは。人間中身ですよ?中身」
「貴方は天使でしょう?そもそも、その顔と身長を見たら初見では誰でも間違えます。」
どうやらこのちっちゃい子は男らしい、どう見ても女の子だったが、そうではないらしい。それにしても、考えてる事をすぐ読まれるとは、これも天使ならではなのかな?
「あぁ、すみません。彼はヘルエル、ここの部署の副リーダーです。こんな身なりですが、年齢は貴方の数十倍なんですよ?」
「そうなんですか、ヘルエルさんご無礼を許してください。私はつい先程ここに来たため、地球との差異があるとどうしても驚いてしまうのです。」
「うわ、きもちわる。お前そんな喋り方なの?」
「いえ、私と話すときはこんな話し方はしていませんでしたよ?」
いつも通り謝罪をすると、ヘルエルは引き攣った顔でドン引きしていた。
サエルは普段との違いに困惑しているようだった。
「私は普段はこのような話し方ですよ?ただ、急にこちらに来て困惑したためサエルさんの前では汚い話し方になりましたが。」
「とりあえずその話し方やめよ?私は貴方の話し方を知ってしまったから取り繕う意味はないわ。」
「僕からも頼む。やめてくれ、その話し方気持ち悪い。気分が悪くなる。」
どうやら2人ともこの話し方が気に入らないらしい、この話し方は教師陣には好評だったのだがな。
「2人がそう言うなら分かったよ。これでいいんだろ?」
「へぇ〜お前の本来の話し方はそんなんなのか、人間ってのは話し方も操れるのか。面白いな‼︎」
面白くなんてない、人間は話し方、好きな人、好きなもの、自分の意志までも操ることができる。本当に悍ましいものだ、吐き気がする。
「この気配…やはり…」
「いやーやっぱサエルがずっと監視してただけあって君は何かもってるね。」
そのヘルエルの言葉に驚いた。サエルが?俺を監視していた?なぜ?
「ちょっとヘルエル‼︎その話はやめて」
顔を赤くしてヘルエルの口を塞ごうとするサエル。
「サエル、なぜ俺を見ていたんだ?」
「えっと…ごめんなさい。それはまだ言えない。話す時が来たら言うわ。必ず」
どうやら今言う気はないらしい。何か訳がありそうだが、言う気がないならこちらも聞かない方がいいのだろう。
「分かったよ。またいつか聞かせてくれ。」
話にひと段落ついたところでヘルエルは思い出したかのように聞いてきた。
「そういえば、お前名前は?」
そう言えば言ってなかったな、大河はヘルエルに名前を言った。
「俺の名前は上野大河。」
よろしくと言おうとした時、僕はその場からいなくなっていて、最初の場所に戻っていた。
そして隣には血だらけになったサエルの姿があった。
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