第3話 変わらない

…天使?俺が?大河は困惑した。恐らくサエルは前世で俺がやってきた事を見た上で天使の適性があると判断したのだろう。

だからこそ俺の答えは決まってる

「断る」

「なぜですか?貴方の人生は善行に溢れていました。天使にはそう言った事を行う役目もあります。貴方に適任だと思いますが」

「お前もそう思うんだな。天使とか言ったから人間とは違う思考を持ってると願っていたがやっぱりどいつもこいつも上っ面しか見てねぇ。」

「?」

「もういいよ、他の道はないのか?俺はもう偽善を重ねたくないんだよ。」

「あるにはありますよ。異世界と呼ばれる場所で第二の人生を始める、日本にもう一回別の人間で生まれ人生を歩む、天国で暮らす。この3つの選択肢があります。」

「じゃあ天国に行かせてくれよ、俺はもう疲れたんだよ。」

「やめた方がいいですよ。」

急にサエルは真顔で警告してきた。さっきまでにこやかな表情で話してたからかその変化が不気味だった。

「なぜだ、お前ら天使がわんさかいるんだろ?幸せじゃねぇか」

「おとぎ話にあるような幸せな場所じゃないですよ。天国にはなんでもあります。だからこそ何もできません。そんな場所で貴方は寝ることも、遊ぶことも出来ずに一生過ごすことになるんですよ?いいんですか?」

「天国とは正反対だな、まぁお前の忠告は聞いとくよ、やめとく。」

そういうとサエルは元の表情に戻った。何かしら天国とあったのかな?

「私としてはやはり大河さんには天使になって欲しいです。それ以外の道を選ぶと嫌な予感がするんです。」

「なんだそりゃ、女の勘ってやつか?」

「まぁ、そんなものです。とにかく‼︎貴方は天使の仕事を知らないでしょう?一度私と見て回りませんか?どうせ異世界がどんな場所か最近の日本の方なら知ってるでしょ?」

転生系の小説を指して言ってるのだろうか、俺も例に紛れず何となくイメージはできるから聞く予定はなかった。そもそも行く気はない。現世よりしんどそうだし

「確かに天使の仕事風景とか滅多に見れないよな。」

「でしょう?だから私と見ましょう‼︎」

…面倒くさいしはっきり言うと嫌だ、だけど俺の口は心の意見を無視する。

「分かったよ。お前についていく、天使の仕事を見させてくれ。」

大河は死んでも性格は変わらない。

結局のところ何処に行っても変わることなんて出来ないのだ。

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